Horseman's Column title

VOL.26 Tack Up タックアップ
     Saddle Up / Bridling サドルアップ/ブライダリング

 タックアップとは、馬装と一般的に言われていることで、今回はこのことについてお話ししてみたいと思っています。
 
タックアップの手順は、裏掘りやブラッシングが済んでいることが前提として、次のようにするのが望ましい。


1. 馬の背中のセンターに注意して、左右イーブンになるようにサドルパッドを乗せる。

2. サドルを馬の背中に乗せる。馬の帯道に丁度シンチが位置するように配慮し、き甲の部分に手をあてがいパッドが少し浮くようにセットする。

3. シンチ(腹帯)を絞める。

この場合、ブライドルを着ける前の段階なので、サドルがずれ落ちない程度に仮締めするように、軽めに絞めておくことが必要です。
何故なら馬によってですが、シンチをきつく締めてしまうと、ブライドルを着けるのを嫌がってしまうのがいたり、嫌がるような癖をつけたりしてしまう恐れがあるからです。

またフランクシンチ(バックシンチともいう。)が付いているサドルの場合は、必ず先にシンチ(フロントシンチ)を絞めた後にフランクシンチを絞めること。
先にフランクシンチを着けてしまうと、馬は急にバッキングする恐れがあります。
このことは、騎乗後にサドルを降ろす時も要注意事項で、フランクシンチを先に外してからフロントシンチを緩めて、外すようにする手順を必ず守るようにしましょう。
つまりサドルアップする時の逆の手順で、しなければならないということです。
そしてフロントシンチとフランクシンチを繋ぐストラップが、付いているかどうかも確認しておくこともまた重要です。これが付いてないとフランクシンチが騎乗中に後方に、ずれてしまう恐れがあり危険なのです。
ロデオでバッキングする馬やブル(雄牛)を見たことがあるかも知れませんが、これらは後肢近くに腹帯を着けて締め付けているから、跳ね回ったりバッキングしたりするのです。これを緩めてしまえば、たちどころに沈静してしまうものなのです。
つまりフランクシンチが後方へずれてしまうことは、バッキングする恐れがあるということなのです。またフランクシンチをフロントシンチよりも先に着けて、外す時は先に外すということもこのことが理由なのです。

4. ここまでは、馬をホルターとリードロープでタイアップ(繋留)したまま行っていたので、ここでホルターを外すか、外して馬の首にホルターを掛けて、ブライダル(Bridle 頭絡及びビット)を装着します。
右手を馬の頭頂(ポール)において馬の頭を下げさせ、且つ人の方へ馬の顔を向けさせて、その右手でライダルの一番上の部分を持って、左手でビットとチンストラップを持ち、その左手の親指を馬の口角へ差し入れて馬の口を開くようにして、ビットをゆっくりと銜えさせるようにします。そして右手でブライドルを引き上げます。次ぎに左手を添えるようにして、ブライドルを馬の耳にかける。

5. シンチをマウントするために絞める。
この時、シンチを絞める前に右のレインをサドルホーンにタイアップして、左手で左レインを少しの緩みを持たせるような長さでもって軽めに仮締めしていたシンチをしっかりと絞めます。


タックアップは、騎乗する時必ずすることなので、日常的な作業(ルーティングワーク)になりやすい。
作業となるとは、多少の不都合なことがおきても、サドルを乗せることに主眼をおいてしまうとか、急いで終わらせて速く騎乗したいという風になりがちです。

しかし、タックアップは、騎乗前のケァーも含めて、人と馬の関係を築くための大切な時間だと考えなくてはなりません。

タックアップの作業の一つ一つに対して、その時々に馬がどんな態度を示しているかを見なくてはなりません。
そして馬を見る前に自分自身を見なくては、馬が見えるようにはなれません。

その自分自身とは、タックアップの時に馬はどのような態度でいて欲しいかということです。


1.  サドルパッドやサドルを馬の背に乗せる時、リラックスした態度で、特別緊張した態度を見せないこと。

2.  そしてシンチを絞める時にもまた前記の通りの態度で、耳を伏せたり噛みつくそぶりを見せたり、ごそごそ動いたりしないこと。

3.  ブライドルを着ける時は、頭を下げて人の方へ顔を向ける。

上の3つのような態度があれば、タックアップに何ら支障がない。

しかし残念ながらこのような馬ばかりではないし、何らかのバッドラックや扱う人の心ない行為で、悪癖を持つ馬になってしまったりします。

耳を伏せたり、噛むような仕草や本当に噛みに来たり、ごそごそ動いてしまったりしてしまうことを日本では、悪癖というような表現をします。

私は、悪癖という言い方が良くないと考えています。
何故なら、癖と表現すると意識的行動ではないという印象を持ってしまいます。意識的行動でないとなると、直すことが困難だということになってしまいます。
これらの殆どは、馬の意識的行動であり、その意識を改善することによって直すことができるし、放っておいたり叱りっぱなしになったりしてしまうことによって、益々エスカレートしてしまうことにもなりかねません。

1. サドルパッドやサドルを乗せる時、馬が緊張して逃げて動いたり、耳を伏せたり噛みつくそぶりを見せたりする。

こんな場合は、軽度であればサドルパッドを大げさに煽って、馬の首や頭の上に、バサッと乗せて、馬が逃げ回ったりバタバタしたりするのを止めるまで繰り返す。

耳を伏せたり噛みつくそぶりを見せたりする馬は、サドルパッドをバサバサするだけで直ればいいのですがそれで効果がなければ、リードロープを持って馬場や丸馬場で、リードロープを1メーター内外で持って、余った方を馬の背や肩に向かって放り投げつけます。
すると馬は逃げ回ってハンドラーの回りを走ろうとします。その時しっかりとリードを持ったまま何回も繰り返します。馬がじっと動かなくなるまで繰り返して、動かなくなったら今度は馬の顔に放り投げます。
これも馬がじっと動かなくなるまで繰り返して、勿論左右両方とも、馬が緊張しないでリードロープが顔に当たっても、平気でいるようになれば、大体のことは解決するはずです。


2. そして、シンチを絞める時にもまた前記の通りの態度で、耳を伏せたり噛みつくそぶりを見せたりごそごそ動いたりする。

 こんな場合は、前記1でだいぶ直すことができると思います。
特に耳を伏せたり噛むそぶりを見せたりするのは、だいぶ直すことができるはずです。しかし翌日になって少しそんな仕草を見せるような場合は、腕を大きく広げたり音を立てたりしてプレッシャーをかけて、止めさせるようにその度に行うようにしなければなりません。やがて全く見せないようになるでしょう。

 サドルを乗せた時動いてしまうのは、動いている間は馬のリブケイジ(横腹)を膝などで小突いて、馬が動かなくなるまでプレッシャーをかけ続けて、動かなくなったらサドルを降ろし、また乗せます。
これを繰り返して、サドルを乗せたり降ろしたりしてもじっと動かなくなったら、シンチを絞めるようにしましょう。
やはりこのことも翌日に動くようなそぶりを見せた時には、同じことを繰り返してじっと動かなくなってから、シンチを絞めるようにしましょう。
 1週間程度繰り返すことによって、全く直すことができるでしょう。直すまでは少し手間がかかりますが、直ってしまえば以前より簡単にタックアップできるようになるので、面倒がらずに試してみましょう。

直していく過程と結果において、とても満足感や達成感をもたらしてくれて、とても楽しめることです。

3. ブライドルを着ける時は、頭を下げないばかりでなくそっぽを向いてしまう。

 こんな場合は、先ず馬のポールに手を置いたら頭を下げる馬にしましょう。
このことはホルターを着ける場合でも、子供が馬を扱う場合でも、とても役に立つトレーニングです。

 右手で馬の項に触れるのと平行して、馬の顔に優しく左手をおいて撫でながら、右手で項を下に押しながらスクィーズする。
馬が最初は力を入れて抵抗を見せるが、その抵抗を下に押さえる力で対抗するのではなくて、スクィーズして馬自身が抵抗の力を抜いて頭を下げるようにします。この時少し抵抗の力を弱めるような反応をしたら、スクィーズするのを止めます。そしてまた繰り返す。やがて馬はポールに手を置いただけで頭を下げるようになります。
 このトレーニングで大事なことは、途中で止めないで徹底して、馬がポールに手を置いたら、素直に何ら抵抗することなく頭を下げるようになるまで、やり遂げるまでやりきることです。
少し休んでからやり直すとか、翌日に持ち越すなどということは決してしてはなりません。もし翌日に持ち越したりすれば、2倍も3倍も抵抗するような馬にしてしまうことになるでしょう。

 頭が抵抗なく下がるようになったら、次ぎにブライドルを着けます。この時馬が人の方へ向いている状態で着けることです。もしそっぽを向いたりしたら向き直させてから着けることです。そうして着けることができたら、何度も外して着けることを繰り返します。そうして楽に人の方を向いて、ブライドルを着けさせるようになるまでやります。

 日常的作業の中で、馬を扱う人の心にしっかりとどんな馬でありたいのかという認識を特別なこととしてではなく、当たり前として持つことが全ての基本であり始まりです。
しっかりとどういう馬でいて欲しいのかという自分自身を認識していることが、自分を見ることであり、些細な馬の抵抗を見逃さないで、その都度フィックス(改善)することを怠らないことが、馬を見るということなのです。

こうして磁石の両極にプラスとマイナスがあるように、両極に善と悪が存在して、そして善方向へのベクトル有する人と馬とのコミュニケーションのチャンネルを築き上げることができるのです。



 2009年1月28日
             
  著者 土岐田 勘次郎


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