Horseman's Column title

    VOL.119「馬の柔軟性」

 2020年3月号

 今月は、馬の柔軟性が何故必要なのか、そして、馬の柔軟性とは何かについて考えてみたいと思います。



 馬の柔軟性は、人間の場合と少し違うのは、フィジカルの柔軟性とメンタルの従順性、そして能力の3つの要素が整っていることによって実現し、この3つの要件が整っているとき初めてライダーは、馬が柔らかいと感じるのです。
 つまり、フィジカルが柔軟であってもメンタルが反抗的であれば、ライダーはスティッフ(硬い)と感じるし、従順な馬であっても、フィジカルが柔軟でなければやはりスティッフに感じて、従順でフィジカルが柔軟であっても、ライダーの要求に反応できる能力がなければスティッフだと感じてしまうのです。

 従って、馬の柔軟性とは、メンタルが従順で、フィジカルが柔軟で、反応できる能力が備わっていることをいうのです。

 以上のことにより、トレーニングなしで柔軟な馬は存在しないということなのです。

 そして、ライダーが感じられる馬の柔軟性は、馬が能動的にライダーの要求に応えようとすることで実現することなのです。ライダーが馬に与えるビットやレッグのプレッシャーに対して、能動的に馬が反応することによって、ライダーは、レインハンドやレッグの馬体との接触点において柔軟性を感じることができるのです。

 ライダーが犯しやすいミスは、馬のネックをベンドさせるためにレインを引いたとき、視覚的に馬のネックが曲がったかどうかに囚われて、ビットコンタクトに対して、その接触点に柔らかさがあったかどうかを見ないことです。
 ライダーが視覚情報に囚われて、ビットの接触点の如何を認識しない場合は、馬のフィジカルの柔軟性だけを見ていることになるのです。
ビットコンタクトの接触点において柔軟性があって、且つネックがベンドすれば、馬のメンタルもフィジカルも柔軟であるといえるのです。
 この場合、馬のネックはベンドするもののビットコンタクトに対してスティッフというのは良くあることで、これを続ければやがて馬ははっきり分かるように反抗を示すようになるのです。
 従って、馬のメンタルは、視覚では捉えることはできなく触角でしか捉えることができないのです。




 ライダーは、プレッシャーを馬に与えるとき、そのプレッシャーの馬体との接触点において、その触感が柔軟なのかそうでないのかを捉えなくては、馬のメンタルを感知することはできないのです。

 ライダーと馬とのコミュニケーションは、プレッシャーアンドリリースによって行われますが、そのプレッシャーの接触点の触感が重要なのです。
 プレッシャーの接触点の触感は、馬の柔軟性の3要素が全て含まれるからなのです。つまり、視覚情報は3要素の内にフィジカルと能力の2つしか捉えることができなくて、メンタルは接触感でしか捉えることはできないのです。
 コミュニケーションは、メンタルの問題ですので、プレッシャーの接触点における触感でしか取ることができないのです。

 馬の柔軟性を養成するために、ストレッチを行いますが、このときプレッシャーの接触点における触感において、馬が譲ったときそのプレッシャーをリリースし、抵抗しているときは更にプレッシャーを続けるか増幅させるかをして、馬に譲らせるようにしなければならないのです。
 これを視覚情報で馬が譲ったかどうかを判断していては、馬のフィジカルだけを見ていることになり、肝心なメンタルを無視してしまうことになるのです。
 このことによって、フィジカルは柔軟になっても。メンタルが反抗的になってしまうのです。

 しかし、プレッシャーの接触点における触感で判断していれば、馬のメンタルとフィジカルと能力の3要素全てを見ることができるのです。



 ライダーに対する褒め言葉としてグッドハンドという言葉がありますが、それは馬のメンタルとフィジカルと能力の3要素を把握できる感覚を(フィール)を持っているということなのです。

 馬の柔軟性の必要性は、屈撓や収縮や内方姿勢などのフレームワークにおいての必要性とバランスワークとしてとして必要性を上げることができます。
 ネックやショルダーやリブケージやフランクなどの柔軟性は、チェンジリードやスピンやスピードコントロールやスライディングストップなどのパフォーマンスにおいて要求されるのです。

2020年2月23日
著者 土岐田 勘次郎

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