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    VOL.15「トゥトラック Two Track 二蹄跡運動」

                                                 

 さて2トラック運動とは、馬体の対角線上を運動ベクトルが通過することを実現する為に、外方後肢を内方前肢の直線上に位置するようにステップすることによって、外方後肢から発する推進ベクトルが内方前肢へと向かい、馬体の対角線上を推進ベクトルが通過して、馬の重心を通過するようになり運動効率が最も良くなるのである。

 一般的には、内方姿勢をとってサークル運動することは、2トラック運動だといって差し支えないが、外交後肢を内方前肢へと向かうステップを作ることであって、単にネックをベンド(曲げて)させて内方姿勢を作ったのでは、ネックをベンドすることによって外側へと張力が働き、外方後肢がアウトサイドステップして、内方前肢へと向かい馬体の対角線上を推進ベクトルが通過しないので、2トラック運動にはならないのである。

 サークル運動で2トラック状態を作ることは、外方後肢の推進力が遠心力と逆方向となるので、遠心力に対抗することになるので、馬のショルダーが倒れることを防いでフラット状態を保つことができるのである。

 レイニングのみにいえることではないが、特にレイニングホースはスピードサークルやスライディングストップやチェンジリードのパフォーマンスが求められるので、2トラック運動のトレーニングが重要で、2トラックの延長線上にコレクション(収縮)があると考えることができる。

 またチェンジリードは、左右の2トラックを切り替えることだということもできるのである。

 馬の頭を進行方向(内方)へ位置して、2トラック運動することと、頭を外方へ位置して2トラックすることでは、馬にとってまるで意味が違う。
 それは、外方姿勢で2トラック運動することは、馬にとって比較的容易だ。何故なら、重心移動が先に起きてそれを支えるためにステップするという循環運動になるので、さほど訓練をしなくても馬はできるのである。

 しかし、内方姿勢で2トラック運動するのは、ステップしてから重心移動をすることになるので、大抵の馬にとっては難しいと感じるので、多少の訓練が必要となるのである。

 そのために、内方姿勢をとって2トラック運動を試み、馬の抵抗感が強い場合は、一端外方姿勢をとって脚による扶助をしながら2トラック運動をし、脚の扶助で外方後肢のインサイドステップをトレーニングした後に、内方姿勢による2トラック運動をするようにすると効果がある。

 スライディングストップにおいても直進運動によるランダウンのときに、2トラック運動をしていることが理想だと考えることができる。つまり外方後肢から内方後肢へ向かって馬体の対角線上を運動ベクトルが通過して、推進することによって運動と重心移動が同一ライン上に位置するから、真っ直ぐスライディングすることができて、真っ直ぐスライディングするということは左右の後肢に対して均等に負荷が掛かることを意味し、バランスを崩すことがなくなるのである。

 更に、スピンターンにおいても、内方後肢で馬体重を支えて外方後肢が推進を発揮して内方前肢へと向うことによって、バランス良く回転運動を繰り返すことができるのである。

 何れにしても、馬体構造上から運動の効率を上げるために必要不可欠なのが2トラック運動だと考えることができ、あらゆる馬術においてコアとなる運動がこの2トラック運動なのである。

 2トラック運動を無視して成り立つ乗馬はないと断言することさえできるのであり、あらゆる運動の基礎でありあらゆる運動の究極でもあるのである。

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             2011年6月30日

             著者 土岐田 勘次郎


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