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VOL.167「ストレッチ運動の要点」


1.「尻馬』

 内方脚で馬のショルダーをガードして、内方へレインを引き小さなサークル運動を行い、馬体を内方へサイドベンドして、レインを内方へ引くことの反作用で、後肢がアウトサイドステップし、フランク(脾腹)の柔軟性が養成される。
 その後に、前肢がインサイドステップするまでサイドベンドさせることで、リブケージ(胸郭)の柔軟性が養成される。
このとき、レインに対する抵抗や前肢のインサイドステップや後肢のアウトサイドステップが容易にできるようにトレーニングする。
 このことで、馬のリブケージとフランクの柔軟性を養成する。

 後肢のアウトサイドステップは、内方後肢が真横にステップするのではなく、内方後肢は斜め前方にステップし、馬の重心へ向かうように動くことが目的で、内方後肢が重心の真下に位置することで、馬体重を内方後肢が支えることになり、他の3肢の動きを軽快にするのである。

 また、内方脚でショルダーの動きをガードすることで、ショルダーの動きを拘束し、その上で前肢のステップを要求することで、馬のショルダーとリブケージの柔軟性が養成される。

 このストレッチ運動で重要なことは、前進モードで、内方脚でショルダーの動きを固定して、内方へ徹底してレインを引くことである。このようにすることで、最初は前肢がアウトサイドステップしたり後肢が真横へアウトサイドステップしたりしてしまうが、前肢がインサイドステップするまでレインを内方へ引くと、内方後肢が馬の重心の真下へ向かうステップをし、且つ前肢がインサイドステップして、レインを引く力に対する抵抗がなくなるのである。

2.「あっち向いてホイ」

 馬のショルダーを固定し、ネックを左右へベンドさせる。
 このとき、折り紙を折るぐらい容易に、ヘッドが左右のショルダーへ接触するぐらいの反応する柔軟性を養成する。
 このとき、馬のネックを左右へベンドさせたときに、サークル運動の軌道を変えないようにしなければならない。

3.「内方姿勢」

 馬の頭頂(ポール)とショルダーをストレートに保ち、後駆を左へ位置させれば左内方姿勢となり、右へ位置させれば右内方姿勢となるのです。
 左右の内方姿勢を切り替えたり内方姿勢を形成したりするとき、折り紙を折るように、容易に反応が生まれるまで柔軟性を養成する。

4.「バックアップ」

 ショルダーを起点とし、屈撓するようにレインを真上にピックアップする。このとき、ライダーは極力鐙に負重しないで、シートに全体重を掛けるようにする。
 このとき、馬の顎が胸に接触するまでレインをピックアップして、折り紙を折るぐらい容易に反応するようにする。

5.「脚による推進」

 ライダーの脚のプレッシャーには、物理的に馬を動かす力はありません。従って、ライダーの脚が、馬の推進に結びつくように、馬のメンタルに意識付けが必要なのです。
 上記の1から4までのストレッチ運動の最終段階において、レインで馬の動きを拘束したうえで、脚のプレッシャーをかけて馬を推進するようにし、脚のプレッシャーが推進に結びつくように、馬のメンタルに意識づけをする。

 更に、馬術上後肢の踏み込みが重要であることは、論を待たない要素であるが、ストレッチ運動によって馬体の各パーツの可動性と柔軟性を充分に養成し、ライダーが求めさえすれば、馬がこれに容易に反応できるようにすることが、トレーニングにおいて肝要なことなのであり、後肢の踏み込みを求めるトレーニングを行うというプログラムは、馬に余計な緊張を与えたり抵抗を作ったりする要因となり、好ましいこととはいえないのである。

2024年1月24日
著者 土岐田 勘次郎

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