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    VOL.20 「スピン SPIN」

                                                 




 も以前は、スピンにおいて前肢のクロスステップと内方後肢の軸が重要だと軽く考えていました。 内方後肢がドリルのように全く動かずにスピンをする馬がいますが、それを目指しているというぐらいにしか捉えていませんでした。
 しかし、今は、バランスバックがスピンには一番重要なファクターであると確信しています。
 つまり、バランスバックしてスピンする馬が、前肢のスムースなクロスステップを作り、そして軽快な運動を可能にしていると考えるようになったのです。

 完成している馬であっても、普段バランスバックさせてスピン運動をするように気をつける必要があるということです。
 そのためにすることは、先ずライダーは上体を前のめりにならないように起こして、後肢へ負重するイメージで乗ることと、極力鐙を踏み込まずシートにできるだけ全体重を掛けるようにすることです。
 鐙へ体重を掛けてしまうと、それは前肢への負担を重くしてしまうことになるので、軽快な前肢のステップを妨げる原因になるのです。

 に、多くのトレーナーが、速歩からスピンへ移行したりスピンから速歩へ移行したりするのは、バランスバックに重点を置いているからなのです。しかし、この論理を理解しているかどうかは怪しいもので、習慣としてやっている人が多いが、このことは理に叶っていて、速歩から常歩の歩様であるスピンへ移行すれば、馬は自然に後肢でブレーキ欠けるようになります。つまり前肢は常歩のステップを継続して、後肢が止まらなければならないわけですから、馬は後肢でストップすることによって、後肢へのウエイトバランスでスピンへ移行するようになるのです。

 更にスピンから速歩のサークル運動へ移行すると、常歩の歩様でスピンしている馬が速歩へ移行するには、より後肢の推進力を高めなければならなく、ウエイトシフトを後肢へとするようになるのです。







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 ジャッジがスピンのスコアリングをする際に、一番見るところはポジショニングです。つまり一定の場所で運動しているかどうかなのです。

 軸肢がステップしているのかどうかを見ているのではなくて、スピンをしながら馬が場所を移動してしまっていては、低い評価になってしまうということです。どんなにスピーディであっても前肢のステップが良くても、評価が高くなるということはありません。

 して次に、前肢のクロスステップがスムースに一定の歩調で行われているかということです。
 先ず前肢のクロスステップの交差が深ければ評価は高く、浅ければ低い評価となり内方前肢の後方を外方前肢がステップしていると、更に評価は低くなります。
 また、一定のリズムでなくジャンプアップしたり所々でアクセントを感じさせたりするようなステップでは、評価が低くなってしまうのです。

 そして更に評価の対象となるのは、スピードです。前述のことがクリアされているという前提において、スピードが速ければ速いほど評価が高くなります。

 ここで重要なことは、ステップとポジショニングとスピードをジャッジは見ているということで、馬の頭が高いとか屈撓しているとかいうことは、評価の対象ではないということです。

 談ですが、サークルもスライディングストップもロールバックも、ジャッジは馬の頭が高いとか屈撓しているとかを評価していないということです。
 馬の運動には、特にレイニングのパフォーマンスは、馬の重心のコントロールによって行っているということで、馬は自然体の時には、バランスフォーワードで前肢への負重の割合が大きいので、トレーニングによってバランスバックをして、後肢へ負重するようにしなければならないということです。

 パフォーマンスにおける問題の多くは、このバランスバックの出来不出来にあるのです。
 特にスピンにおけるピボットターンのピボットとなる内方後肢、前肢のクロスステップ、そしてリズム・スピードの殆どは、このバランスバックが鍵を握っているといっていいのです。





             2011年11月17日

             著者 土岐田 勘次郎


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