Horseman's Column title

    VOL.55 「馬の反抗」



                                                 

 2014年11月号


 今月のテーマは、馬の反抗で、何故馬は反抗するか、そしてその対策や予防についてである。

 ライダーが、馬をコントロールする上で、トレーニングしたりパフォーマンスしたりするときは、必ず少なからず馬の抵抗がある。

 馬の抵抗に対するライダーの対処の如何で、従順や集中に繋がるか反抗に繋がるかが決まる。

 レイニングにおいて、レジスタンス(反抗)は、大きなマイナス要因で、ジャッジングにおいては、注目しなければならない大きなファクターなのだ。

 ライダーは、馬の抵抗をコンタクトの接点において感ずるもので、その感じた感触の処理の仕方で、従順か反抗になるのかが決まるということである。

 多くのライダーは、馬の反応が要求通りなのかそうでないのかによって対処の仕方を変えているが、反応が要求通りかそうでないのかは勿論判断の対象であるものの、反応の前にライダーがビットや脚やシートでプレッシャーを掛けるときに、その接点で生まれる抵抗の如何で、判断をして対処の仕方を決めるのでなくては馬が分かりにくいのである。

 つまり、プレッシャーの接点において起きる抵抗を、ライダーが察知して、馬の反応がライダーの要求通りであっても抵抗感が大きければ懲罰を与え、その逆に要求通りでなくても抵抗感が小さければプレッシャーをリリースすることもありうるということだ。

 そして、このコンタクトの接点において起きる抵抗感で、更にプレッシャーを加えるのかリリースするのかを決めれば、コンタクトに一貫性が生まれる。一貫性が生まれれば、馬は理解しやすいので混乱することなく、ライダーの要求に対し従順に応えることができるのである。

 しかし、馬の運動が要求通りかそうでないのかによって、プレッシャーのリリースか更なるプレッシャーなのかを判断すれば、ライダーの要求通りであっても潜在的な抵抗や反抗を見破れず、フラストレーションを増幅させてしまったり、ライダーのコンタクトに一貫性が乏しくなったりして、馬の反抗を作るのである。







 何故、ライダーの一貫性が乏しくなってしまうのか。

 馬の反応である運動が要求通りかそうでないのかは、その時々によって精度が異なったり、ケアレスミスであったり確信的ミスであったりと、同じ運動であっても様々な要因が含まれるので、これらを一貫して正か否かを判断することは困難なのである。

 馬の反抗は、抵抗から始まるもので、ストレスは必ずしも悪いファクターではなくて、その抵抗がフラストレーションやレジスタンスに繋がるかが問題なのである。

 従って、馬の反抗は、ライダーが馬の状態を察知する場合に、馬の運動が始まってから判断するのか、コンタクトの接点において起きる抵抗感を判断の対象にするのかは重要で、接点の接触感で判断することの方が、より馬の状態に近づけるということではないだろうか。

 ライダーの馬に対する接し方に一貫性がなければ、必然的に馬は混乱して反抗に繋がる。

 親子や友達や隣人における人間同士のコミュニケーションにおいても、程度問題であるが行動が正しいかどうかよりも一貫性があるかないかで信頼感が決まるので、ライダーと馬との関係も同様なのである。

 そして、その一貫性は、行動がどうかより接触感で判断されるべきであって、人間同士でも雰囲気や空気感で特定されるので、この感覚に一貫性がなければ信頼感を得ることはできないのである。

 極論すれば、馬の反抗はライダーによって作られるもので、その原因は、ライダーが馬とのコンタクトの接点における抵抗感によって、更なるプレッシャーかリリースするかを決めていないことによって、抵抗やストレスが反抗やフラストレーションとして固定化するものだといえるのである。

 従って、ライダーは、馬に対するコンタクトの接点において起きる抵抗感を察知して、この抵抗感を了とするのか否とするのかを一貫性を以て判断して、更なるプレッシャーを掛けるのかリリーするするのかを怠りなくすることによって、反抗もフラストレーションも生むことがなくなるばかりでなく、従順性を育むことができるのである。






                 2014年10月25日

                 著者 土岐田 勘次郎


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