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VOL.132「第4章 目的の所在」


2021年4月号

 目的地へ向かうとき、その場所までの道順を調べたり方位として場所を特定したりするが、ものごとの目的を達成する場合でも同様で、その所在を特定することが大切なのである。

 人は自分の能力に関係なく目的を持つものだが、そのまま達成しようとすると、目的の所在を特定しないまま実践することになり、暗中模索となってしまうのである。

 目的を持ったとき、そのまま実行せずに、先ずその場所を特定しようとするべきなのである。場所を特定しようとしたとき、できなければ段階的に特定できるまで分解して、目的の所在を特定してから実行に移すことが必要なのである。
 目的の所在が特定されれば、道順も調べることもできるし、方位としてその所在を明確化することもできるのである。

 然らば、目的の所在を特定するには、一体どんなことをすればいいのだろうか。

 目的の所在を明確に認識できるように工夫することが脳の訓練なのであり、ルアーフィッシングで遠くのポイントへ的確にルアーを投げられるように、脳がものごとを明確に認識できる能力は、感覚機能と同時平行的に伸展するものなのである。
 脳の能力は、感覚機能と相互関係で向上するもので、知識としてものごとを記憶しても向上しないのである。
 知識は、脳と感覚機能の相互関係での向上のために、そのバックデータとして役に立つもので、ものごとの正否をそのバックデータである知識に基づいて行うのは間違いで、飽くまでも感覚情報をもとに判断しなければならないのである。

 そして、目的の所在を明確にするとは、五感をもって特定できるということなのである。

 感覚器官がある地点を特定するとは、感覚器官の探知能力によるもので、人間の持つ五感によって特定することなのである。

 日本では、スポーツ万能な人のことを運動神経が優れていると表現する。この表現が、運動神経の鈍い人やスポーツの苦手な人を作っており、本当は、感覚情報の認知能力が優れている人がスポーツ万能な人なのである。

 感覚機能とは、感覚細胞のセンサー機能と感覚情報を脳へ送信する感覚神経と脳の感覚情報の認知機能である。これらの機能を養成するためには、先ず脳の感覚情報に対する認知機能を訓練することである。

 脳の感覚情報に対する認知機能を高めるためには、意識のコントロールが必要で、脳は意識の向いた方の情報を認知するようになっており、つまり、意識はレーダーなのであり、そのレーダーはセンサーではない。
 ソナーといわれるのがセンサーで、ソナーが機能し情報を感知し、その感知した情報の中でレーダー、つまり意識が向いた方向の情報を選択して認知するのである。
 意識が向いた方の感覚情報を認知するので、行動する方へ意識を向ければ、それに関する感覚情報を認知し、これを繰り返すことで、認知機能が高まるのである。

 脳が抱いた行動の目的を意識下におきながら、その行動によって接触しているところやその他の関係するところへ意識を向けることが必要なのである。つまり、人間の意識は、脳が発進する情報と受信する情報の往復する方向の両面へ向ける必要があり、発進する方は恣意的なものなので態々意識を向けなければならないと思う程のことはないが、受信する側へ特に意識を向けるように努めることが必要なのである。

 意識を受信情報に向けるようにコントロールすれば、感覚情報の認知機能が高まり、認知機能が高まれば、この高まりにつれて運動器官の運動能力が高まるのである。

 意識のコントロールが進めば進むほど感覚情報の認知機能が高まり、これにつれて運動器官の運動能力が向上し、感覚情報の認知機能が高まれば、脳が持つ目的の所在を感覚的指標によって特定できるようになるので、益々運動能力が向上するのである。

 意識のコントロール精度が高まることで、人はものごとがよく見えるようになるということであって、視覚で見るのは、外形的にものごとを写しているだけの情報を感知しているに過ぎなくて、意識のコントロール精度が高まり、これにつれて感覚情報の認知能力が高まり、その感覚情報の認知能力によってものごとを見るということは、ものごとの本質を見ることで、質感や内在しているものまで見えることとなるのである。

2020年12月14日
著者 土岐田 勘次郎

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