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2021年6月号
 馬の帯道の当たりのパーツがリブケージである。つまり、脚のプレッシャーを与えるパーツでもある。
回転モーメントによる効用に密接な関係性があるパーツが、このリブケージである。
リブケージに屈曲性はないので、馬の柔軟性に直接的に関係があるわけではないのかも知れないが、ビットコンタクトに対する反応やショルダーやハインドクォーターの柔軟な動きには特別な関係があると思うのである。
馬のフレームワークやバランスワークにおいて、回転モーメントを活用する。
回転モーメントの学術的定義に基づけば、理論上二つの回転モーメントということになる。
回転モーメントは、定点に対して作用点が回転するときのモーメントであり、支点と作用点の二つの逆方向の力が同一物体上に作用することによって、その物体が回転することをいうのではないのである。
従って、二つの回転モーメントとは、ショルダーを定点としてショルダーとヘッドまでが左回転モーメント（馬体を左側面から俯瞰する）、ショルダーとハインドクォーターまで右回転モーメントである。
しかし、この際学術定義を用いず、同一物体（馬体）上に二つのパラレルで逆方向の力が働くことによって、その物体に発生する回転の力を回転モーメントと称することとする。
ビットコンタクトとして真上にピックアップし、この作用点に対する支点はライダーのシートで、ビットコンタクトが真上に向く力であるために、支点であるシートは必然的に真下へ力が加わるのである。
ビットが真上に、シートが真下に向かう二つの力が、馬を左側面から俯瞰したとき右回転モーメントが生まれるのである。
このとき、馬のショルダーやリブケージやハインドクォーターの可動域の大小やその柔軟性によって、回転モーメントの作用性やフレームワークやバランスワークの精度が大きく異なってくるのである。
 つまり、この回転モーメントが機能してフレームワークとしての収縮やバランスワークの精度を高めるには、馬体のパーツであるネックやショルダーやリブケージやハインドクォーターなどの柔軟性や可動域が大きな役割を果たすのである。
そして、これらのパーツが回転モーメントの作用に適うような柔軟性や可動性を持っている場合、ビットを真上に、シートを真下に力を加えて回転モーメントを活用し、収縮やバランスワークを形成するときの促進機能がリブケージのバンプなのである。
今回は、そのリブケージに焦点を当てて、フレームワークを考えてみることにする。
シートを支点にして、ビットを真上にピックアップする。すると、ビットコンタクトは真上、シートは真下へ向く二つの力が馬体に働き、馬体を左側面から俯瞰するとき右回転モーメントが生まれる。
このとき、ライダーに起きる不都合として、より上にビットを持ち上げることができなかったり、後肢の踏み込みを促進できなかったりすることが起きる。
そこで、レインをピックアップすると同時に両脚でリブケージをバンプすることで、右回転モーメントの作用を促進することができ、後肢の踏み込みを深く引きつけることができると同時にヘッドセットすることもできるので、収縮を完成させることができるのである。
乗馬界で良くいわれることは、脚を使うことで後肢を踏み込ませるということであるが、実際に脚を多用しても刺激でしかなく、馬がより速く動くようになったとしても後肢のストライドを大きくすることは不可能なのである。
しかし、レインを真上に引き上げながら両脚でリブケージをバンプすることによって、ヘッドセットと後肢の踏み込みを深くすることとを同時に作ることができるのである。（回転モーメントの促進）
 前肢や後肢のそれぞれがサイドステップしたり、またリレーションシップとして、外方前肢を越えて外方後肢が内方へステップしたり、内方前肢を越えて内方後肢が外方へステップしたりすることや、ヘッドを越えて外方前肢が内方へステップしたり、ヘッドを越えて内方前肢が外方へステップしたりするストレッチトレーニングを事前に施すことが重要である。
これらのパーツの可動域や柔軟性を養成して後に、このリブケージに関するトレーニングをすることが望ましく、何よりも馬がこのトレーニングをより受け入れやすくなるので、ライダーと馬との不必要なファイトを回避できるのである。
回転モーメントを活用して、馬の柔軟性や収縮を作るために、リブケージの作用が大きな要因であるのである。
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