Horseman's Column title

VOL.141「ムーヴメントと推進」


2022年1月号

 新年明けましておめでとうございます。
 本年もご愛読の程お願い申し上げます。

 新年初のテーマは、馬のムーヴメントと推進との関係性である。

 馬がスピードアップするとき、ピッチ(回転)を速くすることと、ストライド(歩幅)大きくすることとの二つの要素で実現しているのである。
 そして、メカニカルムーヴメントでは主にピッチを速くし、テクニカルムーヴメントでは主にストライドを大きくする割合が大きいのである。

 そこで、誤解なきようにいっておきたいのは、スピードアップするときに実際はどちらかの片方を行っているということではなく、両方を同時に行っているのだが、主にピッチを速めているのか、ストライドを大きくしているのかという違いの問題なのである。
 何故なら、バランスフォアの状態では、重心移動後にステップするので、推進力を行使する場合は、頭の動きを速くし重心移動を活発にして、これを支えるためにステップするのでピッチが速くなるのである。
 一方、バランスバックの状態では、ステップによって重心移動をしているので、肢の筋肉運動によって重心を動かし、一歩一歩の伸展に筋肉を駆使するのでストライドが大きくなるのである。

 ライダーが馬にプレッシャーを与えて推進しスピードアップする場合は、主に前傾姿勢を取ったり脚でプレッシャーをかけたりする。
 前傾姿勢をすれば、重心移動を促すことになるので、ピッチが速くなり、脚やシートでプレッシャーをかければ、馬の肢の筋肉運動を活発にすることになるので、ストライドが大きくなるのである。
 しかし、このとき馬のバランスが問題になってくるのである。
 それは、バランスフォアの状態であれば、前傾すれば勿論であるが、シートや脚によるプレッシャーをかけても、筋肉運動を活発にしても重心移動が先に起きるので、ストライドを大きくせずにピッチが速くなってしまうのである。
 従って、ストライドを大きくする場合は、バランスバックの状態にしておくことが前提条件となり、その上でシートや脚によるプレッシャーをかける必要があるのである。

 以上のことをまとめれば、ライダーが前傾をして馬にスピードアップを促せば、重心を前にすることとなるのでバランスフォアになり、ピッチを速くすることとなるのである。そして、バランスバック状態であっても、ライダーが前傾してスピードアップをしようとすれば、バランスフォアとなってピッチが速くなってしまうということなのである。
 従って、ストライドを大きくしてスピードアップを馬に要求する場合は、バランスバックの状態で、シートや脚のプレッシャーで行わなければならないということなのである。

 元々馬の自然体はバランスフォアで、重心が第4肋骨付近にあり、前肢と後肢の体重の負重割合は6:4となっているのである。つまり自然体の状態でライダーが前傾したり脚やシートプレッシャーをかけたりしても、スピードアップを促せば馬はピッチを速くして要求に応えようとするのである。

 ストライドを大きくしてスピードアップするには、先ずバランスバック状態にすることが必要で、その上でシートや脚のプレッシャーでしなければならないのである。

 馬のスピードアップにおいて、ピッチを速くしてすることは容易で、特別なことをするのではなくライダーが前傾やシートや脚のプレッシャーでこれを要求すれば、馬は必ずといっていいほどピッチを速くしてスピードアップするのである。
 これに比べて、ストライドを大きくすることによってスピードアップするには、先ず馬の態勢をバランスバックの状態にした上でシートや脚でプレッシャーをかける必要があるのである。

 以上の条件を具備しても、馬を推進する大前提は、ライダーが馬に対してイニシアティヴをとっていることなのである。この前提がない限り推進力を発揮することは不可能なのである。

 ライダーによる馬のコントロールの全てにおいて、ライダーが馬に対してイニシアティヴをとっていることは必須なのであるが、特に推進力を発揮するには、イニシアティヴをライダーが握っていることが欠くことのできない条件であり、上記のことは、ライダーが馬に対してイニシアティヴを取っているという大前提として成立している上でのことなのである。

 更に、動物の運動器官のメカニズムは、恣意的に運動しようとすれば筋肉運動を活発化しようとするものなのである。
 従って、馬が反射的ではなく恣意的にスピードアップしようとすれば、筋肉運動を活発にしようとするものなのである。
 メカニカルムーヴメントは、バランスフォアで起きるムーヴメントであり、意識という観点で考えると「してしまう」動きであり、テクニカルムーヴメントはバランスバックで起きるムーヴメントであり、意図的に「する」という動きなのである。

 ライダーのイニシアティヴの状況下で、バランスバックさせた上でシートや脚でプレッシャーをかければ、馬は恣意的にスピードアップしようとするので、筋肉運動を活発にしてこれに応えようとするので、ストライドを大きくしてスピードアップするのである。

 しかし、ライダーのイニシアティヴが欠けていたりバランスフォアであったりライダーが前傾したりしていれば、馬は恣意的に筋肉運動を活発にしようとしてもピッチが速くなるだけで、ストライドが大きくなることはすくないのである。

2021年9月10日
著者 土岐田 勘次郎

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