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VOL.151「内方後肢の可動性と柔軟性」


2022年11月号

 今月は、内方後肢の深い踏み込みによる馬の頭の下がりようについて考察する。

 碁盤の上にポニーを乗せると、狭い碁盤上に乗ることで4肢が1ヶ所(重心の真下)に集まることで、ポニーの頭は下がるのである。
 これは、ドレッサージュでいうところの屈撓とは少し違うのである。何故なら、このときポニーは、頭と首の接続部分が屈曲はせずに、き甲のところで首が下方へ向いて頭が下がるのである。
 ポニーは、碁盤上に載ることで4肢が1ヶ所に集まるので、頭を下げないと後ろに倒れてしまうのである。このため、バランスを取るために頭が下がるのである。従って、屈撓ではなくき甲のところから頭を下げて、バランシングしているのである。

 フランクの柔軟性によって、後肢の可動域が大きくなり、深く踏み込み重心の真下へ着地することで馬の頭が下がるのである。

 因みに、ドレッサージュにおける屈撓とは、頭と頸椎の接続部分で屈曲し、項靱帯を引っ張り、これに伴って背筋を引っ張って背中の緊張を生み、反発力を高めているのである。

 フランク(Flank 脾腹)の柔軟性を高めることで後肢の可動域が大きくなって、内方後肢が重心の真下近くに位置するようになれば、馬はバランスを取るために頭を下げるという理屈になるのである。
 つまり、碁盤の上にポニーを乗せたときと同様に、き甲から頭が下がるようになるのである。

 そこで、馬のフランクの柔軟性を高め後肢の可動域を拡大した上で、内方後肢が重心の真下近くに位置すると、理屈通りに頭を下げてバランスを取るのである。このときの頭の下がりようは、屈撓ではなくてき甲のところで屈曲するようになるのである。

 肩胛骨の柔軟性を養成するために、肩の動きを止めて内方レインを引き、前肢を内方へステップさせるのである。このことで、馬は肩を止められて前肢のステップを強要させられるので、肩胛骨が動かなければならなくなるのである。このことと同時に、肩の動きを止められて頭を内方へ引っ張られるので、頭を内方へ引かれる反作用として、内方後肢は外方へとステップさせられるのである。 このことで、フランクの柔軟性が養成されるのである。
 フランクが柔軟になることで内方後肢は可動域が大きくなって、重心の真下に位置できるようになるのである。
 内方後肢が重心の真下に位置すると、馬の頭は、き甲のところから首を屈曲することで下がるのである。
 しかも内方後肢が馬体重を充分に支えるので、ビットコンタクトに対して抵抗感が無くなるのである。

 内方へレインを引き、馬の頭が内方へ引っ張られる。脚で肩が内方へ行かないようにガードしているために、レインを引っ張る反作用で、内方後肢が外方へ押し出される。このことで、フランクの柔軟性が養成されて、内方後肢の可動域が広がり重心の真下近くに位置できるようになるのである。
 そして、内方脚が肩の動きを止めながら内方へレインを引くので、内方前肢が肩を動かすことなくインサイドステップするので、肩胛骨の柔軟性が養成されるのである。

 肩胛骨とフランクの柔軟性により、前肢と内方後肢の可動域を拡大できるのである。

 肩胛骨とフランクの柔軟性は、前肢と後肢の可動域を広げることができるので、レイニングにおけるパフォーマンスのレベルアップが実現できるのである。

2022年6月15日
著者 土岐田 勘次郎

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