Horseman's Column title

VOL.155「同調」


2023年3月号

 今月のテーマは、同調である。

 学習のメカニズムで、如何に馬の同調が重要で、強制や強要することで、馬の抵抗や反抗を作ってしまうので、馬に与えるプレッシャーは、タッチでも引くでもジャークでも、その圧力やリズムを一定に保って、馬が自ら同調してくるのを持つことで、馬の柔軟性が養成されるのである。

 そして、同調による馬の反応とは、馬が力を抜くことで、頭が下がったり首を曲げたりするボディアクションのことではない。
 つまり、馬が頭を下げたり首を曲げたりというアクションで、与えているプレッシャーをリリースすると、決して馬の同調が生まれないのである。
 馬が与えられているプレッシャーに対して、力を抜く反応をしたときにリリースすれば、プレッシャーに対して、馬は一切抵抗することなく反応するのである。
 このことが同調なのである。
 そこで気をつけなければならないことは、馬が頭を下げたり首を曲げたりするアクションの方が、同調より早く反応が現れることなのである。
 良い提言をすると、そのことで結果がそれまでよりも早く起きると思いがちだが、この場合は違うのである。
 馬のボディアクションの方が、力を抜く反応より早く現れるのである。

 従って、ライダーのレインハンドは、与えているプレッシャーの圧力が、馬のボディアクションによって弱くなるので、力が抜けたと勘違いしてしまうのである。
 馬がアクションを起こしてもリリースしないで、そのままプレッシャーの圧力を一定に保ったまま維持することが肝心なのである。馬のアクションが現れてもリリースせずに、プレッシャーを与えたまま維持していると、馬はやがて力を抜くのである。
 馬が力を抜いた感触は、タッチした感じがとても柔らかく感じるのである。ここで、与えていたプレッシャーをリリースしなければならないのである。

 もう一回、同調について整理すると、ライダーは、馬の同調を求めて、プレッシャーをタッチにしても引っ張るにしてもジャークにしても、強さとリズムを一定に保って、馬の反応を待つのである。
 次に馬のアクション、つまり頭を下げたり首を曲げたりすることが現れるので、ここでリリースしないで、そのままプレッシャーを維持するのである。すると、ライダーのレインハンドは、とても柔らかく接触感を受けるので、与えていたプレッシャーをリリースするのである。
 つまり、馬は、力を抜いてプレッシャーに対して同調を示すのである。このとき、与えているプレッシャーをリリースするのである。

 このことを繰り返すことで、馬はプレッシャーに対して、馬は力を抜いて反応するようになり、ライダーは馬の反応が、とても柔らかな感触として感じるのである。

 以上のような馬の学習が進むと、結果として、馬がライダーのプレッシャーに対して、力を抜いて反応するようになり、ビットタッチしただけで、頭が下がったり首が曲がったりなどのボディアクションが現れるのである。

 同調のゴールは、タッチすることで馬のボディアクションである反応が生まれるというもので、馬が力を抜いたと思ってリリースしていても、タッチしただけで、馬の反応が現れなければ、馬のアクションでリリースしたことの証拠であり、馬が力を抜いていなかったことになり、力を抜いたときにリリースしていれば、必ずタッチしただけで、馬のボディアクションが反応として現れるのである。

 このことが、「超伝導」といってきた、馬の反応なのである。

 馬が力を抜く反応とは、馬のメンタルとフィジカルが一体化した反応なのである。

 馬のボディアクションで、与えているプレッシャーをリリースしていると、馬のメンタルとフィジカルが乖離して、フィジカル指示通り反応しても、馬のメンタルが抵抗や反抗をしていることを作り出してしまうこととなり、ショーペンなどの馬の緊張した環境では、ライダーの指示に対して抵抗が生まれるリスクを作ってしまうのである。

2022年9月12日
著者 土岐田 勘次郎

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