Horseman's Column title

    VOL.17 「リードチェンジにおける注意事項」

                                                 

 2011年9月号


 今月のテーマは、リードチェンジのクォリティを維持したり精度を上げたりするために、留意しなければならないことをテーマに解説します。

 リードチェンジでも他のパフォーマンスでも共通していることは、ライダーの指示によって馬が反応するということが鉄則で、決して馬が状況や場所で自ら予測して、パフォーマンスしてはならないということです。

 リードチェンジの場合レイニングのショーイングでは、レフトサークルからライトサークルへまたその逆というように、馬場中央で必ず方向の変換と同時に行わなくてはなりません。つまり、ショーイングでは同じ場所で方向転換とリードチェンジとをほぼ同時に行っているから、馬は場所や方向転換とによって馬が勝手にしてしまうリスクがあるということを意味しているのです。

 従って、そのリスクを避けるために、普段のライディングで方向の転換リードの変換場所との3つを、セパレートして行う必要があるのです。

 つまり、方向の転換と場所とリードチェンジの3つを、別々に行うようにして、馬が場所や方向の転換とリードチェンジの3つの内2つ以上を、パッケージングして覚えてしまうことなしに、飽くまでもライダーの指示によってリードチェンジを行うように努めるということなのです。

-----------------------------------------
 もし、この3つの内2つもしくは3つを同時に行っていると、馬はその場所に来るとリードチェンジをしてしまったり、方向を変えると同時にリードを変えてしまったりして、ライダーが指示をしていないのにリードを変えてしまうことになってしまうのです。

 またレイニングにおいては、リードチェンジはリスキーなパフォーマンスだといえるもので、リードチェンジだけを評価されるマヌーバーはなくて、サークルのスピードコントロールやガイドと一緒に評価されるが、ミスするとハーフポイントやサークル1/4毎にワンポイントのペナルティが簡単に科されてしまうので、プラス得点をとれる可能性よりもペナルティーを科されてしまう要素が大きいパフォーマンスだということがいえるのです。

 従って普段のトレーニングでは、リードチェンジ自体の精度を上げることはいうまでもないことですが、それだけでなく方向変換や場所をセパレートして行い、飽くまでもライダーの指示によって馬が反応するようにして、決して場所や方向変換に反応してリードを変えてしまわないようにしなければなりません。

-----------------------------------------
 さて、具体的にどのような方法でリードチェンジを、普段行うかを解説します。

 リードチェンジのことは、運動エナジーのベクトルの変換だと考えており、馬体の対角線上を通る運動エナジーを、反対側の対角線上を通るように変換をすることだと考えています。

 外方後肢から内方前肢へと向かっている運動エナジーを、反対側の後肢からその対角線上にある前肢へと向かうように変換をする。

 そのために2蹄跡運動(トゥトラック)を行っている状態、つまり外方後肢と内方後肢とが直線上に位置するように二蹄跡運動しているのを、反対側の二蹄跡運動に切り替えて運動エナジーのベクトルを転換するのです。

 リードチェンジにおけるトレーニングで良く取り入れているのは、カウンターキャンターといって、逆リードでサークル運動をする。つまり、ライトサークルをレフトリードで行ったり、レフトサークルをライトリードで行ったりするのです。




 こうすることで、リードチェンジと場所とをランダムにすることができて、且つ方向の変換とリードチェンジもまたセパレートすることができるから、馬が場所や方向の変換によって、リードチェンジを予測してしまうリスクを防ぐことができるのです。

 例えば、ライトサークルで右内方姿勢の二蹄跡運動をしているところから、レフトサークルへ移行する1/4(サークル)手前で、左脚を前肢よりに使って馬のショルダーを右へとプッシュして、ライトサークルにおける外方姿勢を作ります。

 この時、外方脚である左脚を前肢寄りに使って外方姿勢を作り、レフトサークルへと移行します。左脚はこのままプレッシャーを続けてライトリードを維持して、レフトサークルへ移行して左内方姿勢を維持します。

 この態勢は、馬のショルダーをプッシュアウトするように、左内方脚を前肢寄りに使うことによって作られていますが、後肢はフリーでニュートラルな状態を維持します。

 この態勢でライトリードを維持してレフトサークルをします。つまり、この態勢がリードチェンジのためのカウンターキャンターなのです。

 この態勢が維持されているところから、右外方脚を右後肢がインサイドステップするように使うことによって、左内方姿勢の二蹄跡運動をすることになると同時にレフトリードへとチェンジするのです。

 カウンターキャンターをするときに、内方脚を前肢寄りに使って後肢をフリーでニュートラルにしておく理由は、もしこの時、内方脚を後肢寄りに使って、後肢をステップアウトするようにコントロールしていると、リードチェンジの時に後肢のアクションがステップアウトからステップインへと切り替えることになるので、アクションが大きくなってしまうし馬にとってもイージーではなくなるので、後肢をフリーでニュートラルな状態を維持しながらカウンターキャンターをしているのです。

 このカウンターキャンターによるリードチェンジのトレーニングは、場所と方向変換とリードチェンジの3つをセパレートすることができ、リードチェンジにおけるリスクを回避する方法なのです。

 馬のトレーニングにおいて、どんなパフォーマンスでもリスクは、ライダーの指示なしで馬が勝手に判断して実行してしまうということです。

 従いまして、絶えず馬が予測することのないように考慮しなければなりません。そして、馬は二つ以上のファクターを一緒に行うことによって、その内の一つのファクターを要求すると、馬は同時に他のファクターも一緒に反応してしまうようになりますから、二つ以上を組み合わせることによって馬の反応を作りたい場合は、これを利用することも一つの方法ですし、逆に単独の支持によって反応をするようにしたければ、絶対に二つ以上のファクターを切り離して、馬の反応を作る必要を考えなくてはならないということです。

 そして、リードチェンジの場合は、二つ以上のファクターである場所と方向の変換とを切り離して、反応を作る必要のあるパフォーマンスですから、カウンターキャンターという方法を選択するのです。





                 2011年8月1日

                 著者 土岐田 勘次郎


HOME

ホームへ戻るボタン

Eldorado Ranchへのメール reining@eldorado-ranch.com
TEL 043-445-1007  FAX 043-445-2115

(c)1999-2010. Eldorado Ranch. copyright all rights reserved.
このサイトの
記事、読み物、写真等の無断使用は禁止とさせていただきます。