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2025年12月号
今年最後のコラムとなりました。
1年間のご愛顧ありがとうございます。
更なる精進に努めますので、新年のご支援のほど、相変わりませぬようお願い申し上げます。
我々の住む環境においては、力は重力と動力とがあります。
重力は、そのものの質量と位置する高さで、その大きさが決まり、これを位置エネルギーというのである。
動力は、作用点支点との二つの力が、1対となって成立するもので、作用点と支点がそれぞれ単独では成立せず、互いの力が相反する方向を向き、その大きさは全く同量なのである。
作用点と支点の違いは、力の方向性を決定する方が作用点で、支点は、作用点の方向によってその方向が決定するのである。
私は、これまで、作用点と支点の違いは、作用点が動点で支点が定点であると考えてきた。しかし、これは間違いなのである。つまり動点か定点かという議論は、作用点と支点を考察する上で全く意味を成さないのである。
作用点と支点の位置するところの物体の質量に差異がある場合、質量の大きい方が定点となり、小さい方が動点となるのである。しかし、質量が同じである場合は、どちらも動点となるので、動点と定点によって、作用点と支点とを区別することはできないのである。
二つの力の片方で、方向を決定すれば、もう片方は、それに伴って方向性が決定するのである。
作用点が支点へと向かえば、支点は自ずと作用点に向かい、作用点が支点以外に向かえば、支点は作用点の方向と逆向きで平行になるのである。
作用点が支点に向かうか、支点と全く反対方向へと向かうかによって、互いに押し合うか引き合うかになり、直線モーメントが発生するのである。
作用点が支点以外へ向かえば、支点は作用点と逆向きで平行線を辿ることとなり、回転モーメントになるのである。
乗馬にこの法則を当てはめると、ライダーの体重や馬体重は、重力で、馬が4肢でグランドを引いたり押したりするのは、動力であり、ライダーのかけるプレッシャーは、動力なのである。
地上での作用点と支点は、異なる物体上にそれぞれが位置するので、引き合ったり押し合ったりしたとき、作用点と支点の力が同量であっても、位置する場所の質量の大きい方が起点となり、質量の小さい方が押されたり引かれたりするように、質量の大きい方が定点となり、小さい方が動点となって動くという現象になるのである。
馬上にあっては、作用点と支点の位置するところが同一物体であるために、どのように力を加えても、作用点と支点の力は同量で逆向きなので相殺され、馬が動くことには繋がらないのである。
しかし、馬体を屈曲させるには、作用点を支点以外のところへ向けることで、作用点と支点の力は平行となるので、回転モーメントを発生させることができるので、馬体を屈曲させることができるのである。
只、どんなに馬体を屈曲させたとして、作用点と支点の力は同量で逆向きであることには変わりないので、馬が動くことにはならないのである。
馬が動くには、馬の肢がグランドと作用反作用の関係性ができなければならないのであり、それは馬のメンタルが行っておいるので、ライダーが馬に対して主導権を握って、馬のメンタルをコントロールしなければ、馬を動かすことはできないのである。
従って、ライダーが、どんな上手に脚を使っても、馬が動くことには全く繋がらないのである。
ライダーのかけるプレッシャーによって、馬体に回転モーメントを発生させることで、内方姿勢や屈撓や収縮を形成することは、強制的にできるのである。これらの姿勢によって馬が動くことには繋がらないが、動きやすくなったり動き難くなったりすることはあるのである。
従って、馬体の姿勢形成は、運動エネルギーの方向性をコントロールしたり、支持力をコントロールしたりすることを容易にすることができるのである。
誤解の無いように重ねていうが、容易にするとは、できるという意味ではなくやり易くするという意味である。
屈撓は、腹帯あたりに脚を置き、これを支点にして、左右のレインを真上に引き上げることで、馬体を左側面から俯瞰したとき、馬の頭が左側にある場合、馬の頭が真上に、腹帯付近が真下に向かって力がかかることになり、右回転モーメントが発生して、屈撓することになるのである。
また、収縮は、ライダーのシートを支点にして、左右のレインを真上に引き上げると、左側面から俯瞰すると、右回転モーメントが発生して、馬の4肢が重心の真下に集まるようになり、収縮することとなるのである。
更には、内方姿勢は、外方脚を支点にして、左右のレインをやや外方に引き上げるようにすると、垂直方向に回転モーメントと水平方向に回転モーメントが発生するので馬体が屈曲して、馬の外方後肢が内方に位置するようになるので、内方姿勢が形成されるのである。
屈撓は、馬の頭頸を屈曲することで、馬の脊椎や頭頸の靱帯や筋肉を緊縮し、馬の背に加わる上からの圧力に耐えるようにしているのである。
収縮は、馬の4肢を重心の真下に集めることで、支持力を最小値にしていて、少しの力で動くことができるようにしているのである。
更にまた、内方姿勢は、外方後肢から内方前肢へと運動エネルギーが通過するように、外方後肢と内方前肢が一直線上に位置するようにしているのである。(二蹄跡)
馬体の対角線上を運動エネルギーが通過することは、その中間点に重心があり、運動エネルギーが重心を通ることになるのである。
運動エネルギーが重心を通ることは、運動に無駄がなくなり最小の力で動けるようになるのである。また、最大限のエネルギーを引き出せるようにもなるのである。
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