Horseman's Column title

VOL.189「馬の反応における軽重と硬軟」


2026年1月号

 新年明けましておめでとうございます。本年も相変わらぬご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。

 さて、新年の幕開けのテーマは、ライダーが馬に対してプレッシャーを掛けたとき、少なからず抵抗感を感じます。
 その抵抗感には、重い軽いや硬い軟らかいという感じがあります。

 軽重はどのような要因で、我々は感じるのでしょうか。

 それは、重心と支点の位置の相関関係によって感じるのか軽重です。

 つまり、物体を重心の前方で持ち上げようとしたとき、重心の後方に支点が生まれて、重心と支点の位置関係において、重心が支点の真上に位置したとき、物体を持ち上げている力は0になります。
 従って、持ち上げるときの支点と重心の位置が遠ければ遠いほど、重さが大きくなり、近くなればなるほど軽くなるということです。つまり、持ち上げるときに重さは、重心と支点との距離に反比例するということなのです。

 これを、乗馬に当てはめると、レインを真上にピックアップすると、後肢の着地位置が支点になります。重心は、第4肋骨にあります。
 重心と後肢に着地位置が遠ければ、レインハンドにかかる重みが大きくなり、近ければ、軽くなり、後肢の着地位置の真上に重心がきたときに、レインハンドの重さは0となるのです。つまり、軽くなるということです。

 ウエスタンの場合は、重心と後肢に着地位置を近くするためには、後肢の着地位置を動かして重心の位置を越えるようにします。因みに、ブリティッシュでは、前駆を起揚させて、重心を後方へ移行させて、後肢の着地位置と重心とを近づけているのです。これをバランスバックといいます。

 バランスバックや収縮は、支点である後肢の着地位置と重心の位置との距離を縮めようとする行為で、馬が最小限の力で動けるようにしていることなのです。

 従って、ライダーが馬にかけるプレッシャーの接点においてかかる重さは、後肢の着地位置と重心の位置との距離に反比例するのです。

 一方、ライダーがプレッシャーと馬体との接点において感じる硬軟は、バランスの問題なのです。
 馬は、4肢でバランスをとって立っています。この状態は、筋力の行使が最小限になっているのです。これに対して、馬体を曲げたとき、馬は筋力を行使してバランスを取ります。
 これを、筋力を行使せずにバランスを取っているのをナチュラルバランス、筋力を行使してバランスを取っているのをパワーバランスと定義しました。

 ナチュラルバランスは、筋力の行使が最小限で、パワーバランスは、重量の偏りが出るように馬体を曲げたときで、その偏りが大きければ大きい程筋力の行使が大きくなるのです。

 そして、ライダーが馬に対してプレッシャーを掛けたとき、ナチュラルバランス状態の場合は、筋力の行使が最小限なので、抵抗感が無いので軟らかく感じ、パワーバランスの状態の場合は、筋力の行使が大きければ大きい程、抵抗感が大きくなるので、硬く感じるということなのです。

 レインを引いて馬の首を曲げたとき、レインプレッシャーをリリースすると、馬は元の位置に戻ろうとします。つまり、馬はナチュラルバランスを取ろうとするので、筋力の行使が最小限になる位置へ戻ろうとすることなのです。
 つまり、レインを引いて馬の首を曲げたとき、ナチュラルバランスからパワーバランス状態になり、筋力の行使が最小限から大きくなっているということなのです。そして、レインプレッシャーをリリースすると、筋肉の行使を最小限にしようとナチュラルバランに戻ろうとするので、元の位置へと戻るのです。

 レインプレッシャーをかけて、馬の首を曲げたとき、馬はパワーバランス状態になります。そこで、レインプレッシャーをリリースすると、馬はナチュラルバランスへ移行するように元の位置へ戻ろうとするとき、直ちにレインプレッシャーをかけリリースします。そして、馬が戻ろうとしたときにすかさずレインプレッシャーをかけることを繰り返すと、馬はレインプレッシャーをリリースしても、馬は元の位置へ戻ろうとしなくなるのです。
 この現象は、馬が首を曲げたままでもナチュラルバランスが取れるようになったということなのです。

 従って、ライダーが馬に対してプレッシャーを掛けたとき、軟らかく感じるのは、馬が馬体を曲げたり肢の位置を変えられたりしたときに、素速くパワーバランスからナチュラルバランへ移行する能力、つまり、バランスの対応力がようせいされ高まったときに、ライダーは、プレッシャーの接点において、軟らかく感じるということなのです。
 従って、バランスの対応力の劣る馬は、ライダーがプレッシャーを掛けたとき、硬く感じるということなのです。

 以上のように、ライダーはプレッシャーの馬体との接点において、感じる軽重と硬軟は、その要因が異なるので、その意味するところが違うことなのです。

 従って、硬かったり重かったりする場合の対処法が異なるのです。

2025年11月21日
著者 土岐田 勘次郎

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