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    VOL.33 「ファウンデーショントレイニング Foundation Training」



                                                 

 2013年1月号


 年の初めーのテーマは、ファウンデーショントレイニングだ。

 ファウンデーショントレイニングとは、サドルブレーキングで馬が人に乗られることを受け入れて、ライダーの扶助やキューイングを理解して、その要求に応えられるためのベーシックを築くためのものである。

 サドルブレーキングの後は、スナッフル(水勒)やボザール(ハックモアの一種)を装着してファウンデーショントレイニングに入るのが一般的で、20年ほど前迄のアメリカの多くのトレイナー達は、馬が生後満20ヶ月や2歳を迎える頃にサドルブレーキングをして、3ヶ月ほどファウンデーショントレイニングをした後に、もう一度パスチャー(放牧場 Pasture)に戻して、翌年の3歳を迎えるまで放牧生活を送って、その後にフィニッシュトレイニングを施して、3歳の大会であるFuturityを迎えるのが通常のパターンであった。

 私が、初めてレイニングを学ぶために渡米した1989年の頃は、そうだったのである。

 しかし、近年は、放牧生活を送っていた子馬が満20ヶ月を迎える頃に、サドルブレーキングをするために馬房生活に入り、その頃にWolf Tooth(ウルフティース(狼歯)を抜歯します。
 そして、サドルブレーキングを行います。

 そして、その後ファウンデーショントレイニングに入り、今ではそのまま通年トレイニングを行って、その年の暮れのオークションに出されたり販売されたりして市場に出る。

 そんな市場との関係があって、通年トレイニングして完成度の高い馬として市場に出した方が高い値段で取引される可能性があって、今のようにサドルブレーキング後に続けてトレイニングを行って、そのままフィニッシュトレイニングを行われるようになったのである。

 さて、今回のテーマについて、この稿で技術的なことをあれこれと解説するつもりはなく、ファウンデーショントレイニングの正体について考えてみたいと思う。

 実際上区分してことに当たるわけではないが、分かりやすくする為に便宜上メンタルとフィジカルに分けて考えれば、メンタルにおいては、従順性と集中力とその向かうべき方向で、フィジカルにおいては、後肢や後駆、前肢やショルダー、ヘッドやネックなどそれぞれのパーツパーツが、ライダーのプレッシャーによって単独にコントロールされるようにトレイニングすること、そしてその後の手順として、これらのパーツが連動してコントロールされるようにトレイニングすることである。

 定義としては、上記のようなことになるが実際上のトレイニングは、ゴールからスタートするのである。つまり、完成体からカウントダウンして、完成体に近づけるために、どのような運動ができるようにすればいいかを考えてトレイニングするということなのである。




 そして、その馬ができる完成体の精度を高めようとするとき、問題のあるパーツを動かしてトレイニングし、完成体としての馬のパーツパーツの連動性やライダーのプレッシャーを、ライダーの思惑通りのところや方向としてアウトプットするようにトレイニングするのである。

 馬の運動には二通りあって、重心移動が起きてこれを支えるためにステップする運動(メカニカルムーブメント)と、ステップを起こして重心移動をする運動(テクニカルムーブメント)で、テクニカルムーブメントは、訓練しないと容易にできるものではないので、特にトレイニングする必要があって、そのために、ステップの方向と頭やショルダーの位置関係において、例えば頭を右に向かせたままステップを左方向へとさせたり、その逆をさせたり、またショルダーを内側へ向けて内方へステップさせたり、ショルダーを内側へ向けて外方へステップさせたり、その逆をさせたりしてトレイニングを行い、何れもスムースに穏やかな反応としてライダーのプレッシャーに反応するようにするのである。

 馬にサイドステップ(横脚またはハーフパス)させるときに、馬の頭を進行方向の、外方においたときがメカニカルムーブメントになって、内方においたときはテクニカルムーブメントとなり、内方に頭をおくとハーフパスができにくく馬が多いのは、この運動がテクニカルムーブメントであるからなのである。

 また、後肢のステップが内方前肢へと向かうようにすると共に、第12肋骨にある重心を超えてより深くステップするようにトレイニングするのである。

 また、プレッシャーに対してそのプレッシャーの方向へ反応として運動した時に、プレッシャーをリリースし、プレッシャーの方向以外の方向や拒否する運動として反応を見せた時に、プレッシャーを増大させて、プレッシャーの方向へと反応するようにティーチングする。

 ファウンデーションショントレイニングは、フィニッシュトレイニングの際のスピンやサークルやスピードコントロールやロールバックやスライディングストップやチェンジリードなどのパフォーマンスが確実にできるように、その前段としての基礎的運動ができるようにするトレイニングのことで、例えば、初めてチェンジリードやスライディングストップを試すときに、ミスなくできるようにすることを理想とするものである。



                 2013年 1月 1日

                 著者 土岐田 勘次郎


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