VOL.45「馬の三原則」 |
2014年 1月号 新年あけましておめでとうございます。 本年もよろしくお願い申し上げます。 さて、2013年の締めくくりのテーマは「ライダーの三原則」としたので、2014年の初めのテーマは、「馬の三原則」にしたい。 私は、乗馬における馬の三原則は、 ライダーが馬をコントロールする上で、馬に備わっていなければならない条件の第1は、従順(Obedience)であることだ。 人馬共に安全に乗馬ができるためには、馬が従順であることは必須要件で、何よりも優先されるべきだ。もし従順性が乏しければ、その他の要件が馬に備わっていたとしても乗馬そのものが成立しないのである。 例えば、ライダーが指示命令を馬に与えたとして、これに対して馬が一々反抗するのであれば、馬がライダーに対して集中していたとしても、ライダーの意に反したものとなってしまうのである。また、馬がライダーの指示の意味を理解していても、そして指示に応える能力を持っていたとしても、従順性が欠けていれば、馬の行動はライダーの意に反したものとなってしまうのである。 第2に集中(Concentration)であり、集中もまたライダーが馬をコントロールするためには欠かすことのできない重要な要素である。 何故なら、馬がライダーに対して集中していなければ、ライダーの指示命令が馬に伝わらず、馬が指示を理解する能力や反応できる技能を持っていたとしても、ライダーの指示は馬の反応として起きてこないことになるから、結果的にライダーは馬をコントロールすることができないのである。 第3に馬の反応(Response)である。 馬が従順で集中していて、指示を聞きこの指示に従おうという気持ちになっていたとしても、ライダーの指示であるプレッシャーに対して、反応できるフィジカル的能力を持っていなければ、ライダーの要求に応えることはできないから、結局このことが欠けていてもライダーは、馬をコントロールできないのである。 目視できる要素は第3の反応だけで、従順性や集中力は見ることができない要素だ。従ってライダーは、第3の要素である反応を手にしたときに、従順や集中を間接的に推測するしかできないのである。
さて、第1の従順性や第2の集中度を、馬のどのような反応によって推し量ればいいのだろうか。 私は、従順性はコンタクトしたときにルーズレインになることであり、レッグプレッシャーやシートプレッシャーなどのレイン以外のプレッシャーであっても、そのとき支点として使っているレインコンタクトに対して、馬が譲歩してレインが緩む状態になることを以て、馬が従順であるかどうかを判断することにしている。 |
第2の集中度は、ライダーの指示がないときに馬が動かないことを以て、集中度を測ることにしている。 ライダーとして経験を積めば、従順であるか、集中しているかどうかを感覚的にある程度推測できるし、判断しているものだが、目に見える馬の態度や動きの定義を設定することによって、意図的にこれを養成するものだという意識を持つことができる。 例えば、激しい運動をした直後でも、指示を出すまでは馬が絶対に動かないとか、スピードの速いランダウンやロールバックなどをしている最中にレインコンタクトしたときに、馬が譲ってルーズレインになるとかのように、従順性や集中度の精度を高めることは、馬のクォリティに直結するのである。
第3の反応(Response)は、ライダーが合図を送ったときにスピンをするとかロールバックをするとかチェンジリードをするといった反応ではなくて、プレッシャーとレインコンタクトのコンビネーションによって、馬のステップの方向やストライドやボディアクションを要求するということである。 ライダーが馬に与える推進と抑制の2方向のプレッシャーによって作り出される馬の動きであり反応ことである。 ライダーは馬の動きをコントロールするために、第1従順(Obedience)・第2集中(Concentration)・第3反応(Response)、この3つの原則を重要視して、様々なパフォーマンスを試行すると同時に、この3原則を養成することを平行して行わなければならないのである。 更にまた、馬をコントロールするにおいて不備が発生したときに、反応の不備を正そうとするだけでなく、3原則の観点をもって、その不首尾を正そうと考えることが、より一層問題や欠陥を分かり易く具体的にすることができるし、馬がライダーの要求を理解しやすくなるのである。 何ごとも、馬のクォリティをアップさせたり問題を解決したりするときに、この3原則に照らして問題の本質を明らかにし、指示をする前に馬が動き出していないか、コンタクトに対してレインがタイトになっていないか、そしてプレッシャーに対して最低条件である反応をしているかを検証して、これを修正することを優先して問題の解決に当たることによって、馬とファイト(争う)することなく解決できるようになるのである。 2014年 1月 1日 著者 土岐田 勘次郎 |
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