VOL.57 「翻訳」 |
2015年1月号 新年明けましておめでとうございます。 そして、昨年に引き続き素晴らしい乗馬ライフが送れますよう重ねてご祈念申し上げます。 今年も1年間よろしくご愛読の程お願い申し上げます。 さて、今年最初のテーマは、翻訳ですが、翻訳とは、乗馬が特殊なスポーツであるために、分かり易い言葉や単純な言葉にして、ライダーと馬がすべきことを単純明快にする必要があるので、マヌーバーを翻訳してみることにしようと思う。 レイニングのマヌーバーは、スピン・スピードコントロール・チェンジリード・ロールバック・バックアップ・スライディングストップである。 以上の項目を、ライダーと馬がすべきことややっていることを単純明快な言葉に置き換えて、ライダーが抱いているイメージや概念を明確にしたい。 先ず、チェンジリードはディパーチャーと同じで、ディパーチャーとは発進であり、ウォーク(Walk 常歩)、トロットまたはジョグ(Trot Jog 速歩)、ロープ(Lope Canter 駈歩)、ギャロップ(Gallop 襲歩)などの歩様に停止状態から移行することで、停止→ウォーク・停止→トロット・停止→ロープである。 斜対速歩や斜対駈歩がノーマルな馬の歩様で、これは馬体の対角線上に運動エナジーが通るということで、外方後肢が内方前肢へと向かってステップするということであり、少なくても外方後肢が外方前肢より内方へとステップすることだ。内方とは、進行方向に対して内側ということである。 従って、チェンジリードとは、駈歩をしているまま、馬体の対角線上を通る運動エナジーを、もう一方の対角線上を通るように切り替えることだ。 次にスピンだが、スピンはサークル運動の歩様と同じステップのコマンドで、前後肢とも内方肢に対して外方肢が外側を回ってクロスオーバーのステップをすることだ。そして後肢よりも前肢の方が大きな踏み出し角度を以て内方へサイドステップすることである。 ロールバックは、ストップした後にスピンと同じ歩様で180°回転して駈歩発進することだ。 |
スライディングストップは、駈歩から停止することで、後肢がグランドコンタクトを維持したまま前肢がペダリングする運動だ。 このように説明すれば、前肢は運動を続けたまま後肢が停止するというイメージになるが、運動エナジーの観点では、重心移動は停止へ向かいつつ後肢が運動をし続けるので、前駆を後駆が絶えず追い越そうとするように運動することになり、馬体の重心より前に後肢が着地をして前進気勢が働き続ければ、後肢はグランドコンタクト維持して、前肢は、前駆が高揚するように運動エナジーが働くので、その場で足踏みするようになるのでペダリングすることになるのである。 サークル運動は、内方肢に対して外方肢が前後肢共に外側を回ってクロスオーバーステップ(ステップのコマンド)して、つまり外方後肢が内方前肢の内方へステップして駈歩を継続し、外方前肢の踏み出し角度が外方後肢の踏み出し角度より大きいことが必須で、その差が大きければ大きいほどサークルの半径が小さくなる。その差が小さければ小さいほどサークルの半径が大きくなり、同じになった時点で直進運動になる。 サークル運動のスピードコントロールは、馬体の重心を中心にして後肢の振幅の幅が、大きくなってスピードアップして、小さくなってスローダウンする。 しかし、後肢の振幅が重心を中心に振幅せずに、後への振れ幅が大きい(踏み込みが浅く、キックバックが大きい)場合は、振幅の幅が大きくなればスピードアップするが、振幅の幅が小さくなっても、重心がグランドへ落下する運動エナジーが小さくならないのでスローダウンし難く、前への振れ幅が大きい(踏み込みが深く、キックバックが小さい)場合は、重心がグランドへ落下する運動エナジーが大きくならないのでスピードアップがし難くなる。 従って、スピードコントロールする場合は、スピードアップは重心の移動する運動エナジーを大きくしなければならないので、大きくキックバックするステップをさせる必要があり、バランスフォーワードにする。 つまり、スピードアップはバランスフォーワード、スローダウンはバランスバックするということである。 運動のメカニズムを知ることが重要だが、実際に馬がどんな運動をしているのか、ライダーはどんな役割を果たしているのかと運動のメカニズムとを一致させることが最も重要なことなのである。 2015年1月 著者 土岐田 勘次郎 |
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