VOL.58「乗馬における最優先課題」 |
2015年2月号 今月のテーマは、騎乗時にライダーが絶えず最優先する課題とは何かということで、ライダーが様々なことを馬に求めるとき、どんなことを優先して求めているかについて考えてみたいと思う。 先ず、思いつくことは、ステップのコマンドである。 ステップにはコマンドがあって、私が名付けたステップのコマンドとは、進行方向に対して、内方肢の外側を回り込んで外方肢がステップする法則で、例えば左サークルであれば、左肢に対して右肢が外側を回り込んでステップすることで、前肢後肢共にこのコマンドで馬はステップする。 サークル運動でも直進運動でも、このコマンドを最優先する。 左右どちらかのサークルをする場合でも方向を転換する場合でも、リードをピックアップする場合や歩様の切り替えをする場合(ウォーク、トロット、ロープの移行)でも、ステップのコマンドを無視して運動することはない。 そして、馬の柔軟性を養成したりバランスの移行をしたりするエクササイズにおいても、ステップのコマンドを無視して行うことはない。 運動の方向性とステップのコマンドは、ライダーの意図する要求として必ず優先課題として意識下にあることだ。 次に、ステップの方向性である。 例えば、ディパーチャーやチェンジリードやロールバックなどで、求めるステップの方向性とフィックス(矯正)するエクササイズでのステップの方向性を一致させることだ。 右から左へのチェンジリードは、左から右へとステップしていたものを、右から左へとステップの方向を切り替えることであるから、失敗したときに行う矯正法としてリバースアックをさせることがあるが、このリバースアークを右から左へステップさせながら行うのである。 スピンのときに、後肢のポジショニングの安定性を図るエクササイズで、リバースアックさせては直後にスピンを繰り返すトレーニング法があるが、このトレーニングもステップの方向は、スピンのときとリバースアークのときが前後肢共に一致していなければ意味がない。 左スピンであれば、ステップの方向性は、前後肢共に右から左であるのに対して、このときのリバースアークは、馬の運動方向は右サークルだが、ステップは前後肢共に右から左への方向でなくてはならないのである。 |
また、カウンターキャンターのときは、右サークルで左リード、左サークルで右リードの駈歩をするわけだが、右サークルで左リードの駈歩するとき、前後肢共に右から左へとステップさせなくてはならないのであり、前後肢共に内方から外方へとステップすることが重要なのである。 次に、歩様である。 歩様とは、ウォーク(常歩)、トロットまたはジョグ(速歩)、キャンター(駈歩)、ギャロップ(襲歩)のことで、ライダーが馬を動かそうとするとき、歩様の選択は必須課題である。 私の場合、馬のヘッド、ショルダー、ハインドクォーター(後駆)の3つのパーツの位置関係とステップの方向性とステップのコマンド、そして歩様は、絶対的優先課題として騎乗する。 3つのパーツの位置関係とは、馬のフレームである。内方姿勢であったり外方姿勢であったり真っ直ぐであったりすることだ。 つまり、馬の姿勢(Posture 姿勢)、ステップのベクトル(方向性)、ステップのコマンド、そしてゲイツ(Gaits 歩様)の4つは、優先課題で、この4つに優劣はなく、全て意識下にあって、少なくてもこの4つは馬の対して同時に要求することである。 2015年1月15日 著者 土岐田 勘次郎 |
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