VOL.66「ペイドウォームアップ Paid Warm UP」(前編) |
2015年10月号 今月のテーマは、ペイドウォームアップで、初めて日本で企画したのは15年以上前のことだ。 日本も斯くありたいと願う。 さて、ペイドウォームアップは何のために行うかというテーマに沿った話をしたいと思う。 新馬であれば、それまでトレーニングしてきた最終段階の仕上げとして行い、競技経験を持っている馬であれば、これまで色々な体験によって問題を持ってしまったことを直すことが目的となる。 私は、ペイドウォームアップは、馬のメンタルトレーニングが主体となると考える。何故なら、ショーアリーナで一頭だけになってパフォーマンスするというシチュエーションを作って、その緊張状態で、如何にライダーに対するコンセントレーションを欠くことなく指示に従うようにするためのトレーニングだからである。 従って、レイニングのパフォーマンスにおいてアリーナへの入場から退場まで、如何に馬をライダーのコントロール下におくかが命題になるのである。 特にトレーニング法として消去法を用いるべきだと考えている。 例えば、入場にはウォークインとランインのパターンがあるが、ウォークインでればアリーナに入ったところからセンターまでの間を、コンセントレーションを維持してトロットまたはウォークで入場する。 このとき私は、態とルーズレインで入場を試みる。 馬は自由な状態なので、きょろきょろすることもできるし、真っ直ぐセンターへ向かわず曲がってしまったり横へずれたりしてしまうかも知れない。 つまり、馬を自由にして馬が間違いをしたときにそれを罰して、再び自由にして目的地へ向かうということだ。これが消去法である。 決して、予め馬が間違いをすることを想定して、最初からレインをタイトにしたり脚でプレッシャーを掛けたりするような強制力を使うということはしない。飽くまでも馬が能動的に、ライダーの目的地へ向かうようにするということである。 次に、アリーナセンターでヒジテイトすることである。 多くのライダーは案外このヒジテイトを軽視しがちだが、アリーナセンターは馬にとっては忙しい場所で、緊張しやすいのだという認識を持たなければならない。 観客やジャッジの前でライダーの指示あるまでじっとしてなくてはならない場所なので緊張しやすいのである。従って、ライダーにとっても馬がアリーナセンターで、指示あるまでリラックスしてじっとしていることは重要なのである。 そのためにすることは、入場の際と同じでルーズレインのまま静止しているようにして、勝手に馬が動いたときにバックアップや巻き乗りをして、再びルーズレインで、センターでヒジテイトするのである。 一貫していえることは、メンタルトレーニングだから、能動的に馬がライダーの望む行動を何かと考えるようにしなければならないようにすることが肝心なのである。 もし極端にセンターで緊張するようになってしまっている馬だったら、センターで停止を維持するようにすることは同じだが、このトレーニングで馬が辛うじてヒジテイトするようになった場合、ディパーチャーではロープ発進せずにウォークで発進して穏やかにサークルを描き、再びセンターに戻ってヒジテイトする。これを何回か繰り返して、センターで容易にヒジテイトするように徹底するのである。 場合によっては、ここでディスマウントして腹帯を緩めて、アリーナから退場することも効果があると思う。 |
次にサークルでもスピンでもどちらでもいいが、スピンであれば、スィッチのオンとオフの問題を重視しなければならないし、サークルであれば、軌道との大小とスピードの緩慢である。 スピンのオンオフとは、スタートとストップをどんなキューイングで行うかで、スムースにスタートすることとピタッと停止することが重要であるこというまでもないことだから、これを確実にするようにすることだ。 次にサークルである。 内方へ切れ込んでしまう場合は、場所が特定する場合は前者と同じことが原因と考えられ、そうでない場合はフィジカルなことが要因だと考えることができる。 何れにしても、内方へ切れ込んでしまう場合は、外方の後肢を内方へより大きくステップさせてリバースアークし、直径3〜4m位のサークルをウォークする。 またスピードコントロールは、メンタルトレーニングにおいて私は、センターでライダーの姿勢を起こし、レインを緩めることを合図としているが、この合図を送ってもスピードが落ちないとき、直ぐに止めるがウォーとは発声しない。 またストップした後バックアップする人もいる。 私の場合は、馬の緊張を高めたくないので、直ぐに止めるが強いプレッシャーを掛けないようにして、ストップした後は穏やかにウォークしてセンターに戻り、スピードコントロールを行う。 スピードコントロールの最も大きな要因は、フィジカルの問題だと考えているが、ペイドウォームアップのときは、特にメンタルの動向を気にしてトレーニングするようにしているのである。 さて、以上のようにこのトレーニング法は一貫して消去法で行うもので、パフォーマンスのレベルをパップするために行うものではないし、限られた時間では到底できないことだと思う。 今月はここまでにして、来月はランダウンやロールバックやリードチェンジなどにおけるペイドウォームアップについて解説したと思う。
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