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    VOL.67「ペイドウォームアップ Paid Warm UP」(後編)


 2015年11月号

 今月は、先月に引き続きペイドウォ−ムアップで、ランダウンやロールバックやチェンジリードについての方法について解説する。

 先ず、ランダウンでは、馬のコンセントレーションが切れて急発進したり、ロールバック後にナーバスになってスピードアップしたりして、馬が冷静さを欠いてしまうことがリスクとして考えられるので、馬が常にライダーに対してコンセントレーションするようにすることが重要だ。

 馬がライダーに対して絶えずコンセントレーションするには、何時ライダーから指示が来るかも知れないとか、予想に反した指示が来るかも知れないと馬が思っていることが何よりも重要だ。

 ランダウンにおいては、わざと急にスピードアップするようにハンドアップしたり脚を使ったりして、馬が急にスピードアップした場合に、レインを引いて減速させる。このとき私の経験では、止めない程度に減速することがいいようである。
 これを数回繰り返して、ハンドアップしても急にスピードアップしなくなるようにする。

 また、ロールバック直後には、180°ターンしてロープ発進せずに、ロールバックしようと仕掛けてはこれを裏切って数回スピンしてから発進するようにする。
これらを数回繰り返すことによって、馬が穏やかにロールバックして発進した後もゆっくりと走るようになるのである。

 また、ロールバックした後もゆっくり走るにも関わらず馬場の端を走行し再び直線に向かうとき、エキサイティングしたり急にスピードアップしたりしてしまう場合は、直線に向かう素振りを見せた直後に直進せずに小さいサークル運動にし、ロープをキープしたりトロットにしたりしてサークルを描くようにする。
 これを繰り返すことによって、直線走行に入ってもスローなスピードをキープするようになるのである。

 以上のトレーニングで守らなければならないのは、馬を減速したり止めたりするとき以外は、ルーズレインで行うことを一貫してしなければ、効果は半減してしまうのである。

 さて、チェンジリードのリスクは、馬がリードチェンジすることを予測してしまうことである。その予測は、場所や時が一定になっていることで、馬はこれを覚えて予測しがちになるのである。

 従って、リードチェンジの際に、ショーのときにやらなければならないパターンを変えて行うことで、方向の変換つまりサークルを右から左や左から右へ変換するときにリードチェンジをしないということだ。また場所という観点では、サークルとサークルのX点で行わないということになる。



 例えば、サークルのX点でリードチェンジしても、そのままのサークルをキープする。
 右サークルのセンターでチェンジリードしても右サークルをそのまま走行するということだ。また、サークルを右から左や左から右へ移行しても、X点でチェンジリードせずにカウンターキャンタして、移行後のサークルの任意の場所でチェンジリードするようにする。

 以上のように、チェンジリードの場所やパターンを同じにしないようにして、馬は何時如何なる時や場所でもライダーの指示あるときにするようにしておくことが重要なのである。

 ペイドウォームアップのトレーニングは、基本的にメンタルトレーニングで、学習機能を上手く活用して、絶えず指示あるときに反応するようにして、馬が勝手に予測して行動しようとすることを消去することにあるので、そのトレーニング法は消去法となる。

 消去法は、馬の自由を許し、間違った行動をしたときに懲罰を与えるもので、ライダーが前もって馬のミスを予測して、これを削除するように強制力を発揮するのではなくて、馬が自由なシチュエーションで馬が能動的にライダーの指示を待つようにすることが主目的なのである。

 ペイドウォームアップで、パフォーマンスのレベルアップを企画してはならない。

 例えば、バランスバックやスピンのスピードアップやスライディングの精度を上げようとするのは、時間的にも無理な面も考えられるが、時間の問題ではなくて緊張したショーのシチュエーションと同様にしているのにも関わらず、フィジカルトレーニングをすれば様々なリスクを増幅してしまいかねないからである。

 ペイドウォームアップを理解していないライダーを見ることがあるが、却ってショーイングのリスクを増幅してしまっているので、ペイドウォームアップをしない方がましだ。

 ペイドウォームアップの副作用は、馬のメンタルトレーニングだという認識と消去法としてのトレーニングの方程式を守りさえすれば、どんな馬にとっても有益なことだが、これらを守ることができないのであれば、副作用が大きくなってしない方がいいのである。

2015年10月15日
著者 土岐田 勘次郎


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