今月のテーマは、サークル運動におけるスピードコントロールである。
サークル運動におけるスピードコントロールは、馬のコンセントレーションとガイディングができている前提でできるパフォーマンスである。
スピードコントロールは、レイニングのパターンでは、以下の3つがあって、ファーストラージサークルからスローダウンしてスモールサークルへ移行する場合、スモールスローサークルからラージファーストサークルへ移行する場合、ラージファーストサークルからチェンジリードして、反対のスモールスローサークルへ移行する。
所謂、スピードを落とす場合や、スピードを上げる場合や、反対サークルへリードチェンジしてスピード落とす場合や上げるパターンがある。
これらをスムースに行うには、馬がライダーにコンセントレーションしていなくはできないパフォーマンスだといえる。
先ず、スピードの変化に対する指示をどのように馬に伝えるのかを、馬とライダーの間で確立しておく必要がある。
私が重要視しているのは、スピードを落とすことよりスピードアップする方法のことで、馬によって多少は異なる場合があるが、必ず行っていることは、馬をドライブするに当たって、ライダーのシートでプレッシャーをかけて行うようにしている。
シートプレッシャーで馬がドライブされれば問題ないが、中々ドライブされない場合は前傾し、それでも足りなければ脚で推進するようにしている。
基本的にライダーが、シートでプレッシャーをかけることと、そのシートでドライブされている馬のステップを、感覚的につかめていることが重要だと考えている。
そしてスピードを落とすときに、ドライブを促しているシートプレッシャーの力を抜いて推進をオフにする。もしこのときに前傾していれば、元の姿勢に戻したり、脚を使っていればその脚のプレッシャーを、オフにしたりするようにする。
スピードコントロールの場合、誰もが如何にスピードを落とすかを考えがちだが、それは間違いで、むしろ如何にスピードを上げることに注意を払わなければならない。
何故なら、スローダウンは、スピードを落とそうとするのではなくて、その馬が持っているナチュラルスピードに戻すと考えているからだ。
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スピードアップは、スピード上げる時点でドライブのスィッチを入れて、スピードを落とすときにスィッチをオフにするということではなくて、ストライド毎に絶えずドライブのスィッチをシートプレッシャーで入れ続けているようにして、そのドライブのプレッシャーを解放すると同時に、馬はドライブされないから、スピードが落ちるという考え方である。
トレイニングするときに、トロットでもウォークでも勿論駈歩でも、ライダーの推進をシートプレッシャーで行い、脚での推進をシートプレッシャーの補助として使うようにして、馬がシートプレッシャーに対し的確に反応するようにしておくようにすることが重要だと考えている。
普段シートプレッシャーで馬が推進するように訓練していなければ、スピードコントロールでいきなりシートの変化に反応しろといっても無理な話だから、普段の推進するキューイング(合図)が重要になってくるのである。
そして、トロットでスピードコントロールのトレイニングするのは、とても有効である。
シートプレッシャーでトロットのスピードを上げて、そのプレッシャーをオフにすることでスローダウンするようにしておくと、駈歩でするよりも馬がリラックスしているので学習しやすい。
スピードコントロールは、レインニングホースだけに求められるパフォーマンスだと考えるのは浅はかで、外乗馬であってもその他のプレジャーホースであっても、スピードコントロールのトレイニングをしておくことによって、馬のフィジカルもメンタルも忍耐強くなったり、聞き分けが良くなったりするという効果があるので、是非進めたいトレイニングである。
スピードコントロールは、馬のメンタルの状態によって大きくその精度が違ってしまうパフォーマンスなので、リラックスとコンセントレーションをベースにトレイニングして、確立しているキューイング(合図)によって、コミュニケーションしてできるパフォーマンスで、前提となるフィジカル的要素は、バランス良く運歩でき、そのことによってガイドがスムースにできるようになっていることもまた重要な要素なのである。
2010年10月30日
著者 土岐田 勘次郎
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