VOL.74「スピン」 |
2016年6月号 今月は、スピンについて考察をしてみたいと思う。 NRHAのルールブックでは、以下のようにスピンを定義している。 Spin Spin are a series of 360-degree turns. Executed over stationary(inside) hind Leg,. Propulsion for the spin is supplied by the outside rear leg and front legs, and contact should be made with the ground and a front leg. The location of hindquarters should be fixed at the start of the spin and maintained throughout the spin. It is helpful for a judge to watch for the horse to remain in the same location, rather than watching for stationary inside leg. This allows for easier focus on other elements of the spin ( I e., cadence, attitude, smoothness, finesse, and speed). Spin スピン 上記定義文は、NRHAルールブックの中のJudge Guideに記載されているもので、この中で重要な部分をまとめると、内方後肢が一定のポジションでスピンしていることで、スピンしている間に場所が移動してしまってはいけないということである。また、両前肢と外方後肢で推進されて回転し、前肢のどちらかが必ずグランドコンタクトをしていることとされているので、両前肢が宙に浮いていることはないということであるから、常歩でスピンをすると定められていることになる。 両前肢と外方後肢で推進され速いスピードでスピンするためには、スピンしているときの重心の位置が大いに関係する。 |
従って、スピン運動の重要な要素は、バランスバックなのである。 スピンを速くしようとスパーやヴォイスキューで推進を促しているのをよく見かけるが、バランスバックしていない馬は、どんなにスパーを入れてもメカニズムとして速くはなれないのである。 まず馬の柔軟性を促すためのストレッチをして、後駆やリブケージや後肢やショルダーの柔軟性の養成と可動域の拡大を充分に行った上で、後肢の踏み込みやショルダーのビルドアップを促しバランスバックして、回転運動のトレーニングをすることが重要なのである。 ジャンプアップしながらスピンをする馬は、重心移動するために首を使っているので、内方前肢に重心が負重しているため、内方前肢のステップができず首を持ち上げた反動でジャンプアップしてステップしているので、外方前肢へ負重しているときに内方前肢のステップを促す必要があって、そのために外方前肢の前に馬の頭を維持するようにビットで抑えて、スピン運動をして矯正するのである。 ライダーのポジショニングもスピンにおいては重要なファクターで、シートに負重して、極力スティラップ(鐙)に体重を乗せないようにする必要がある。このことで多少前肢への負重を軽減できるからである。また力を抜いてスピンによる回転運動の中心でバランスを取るようにする必要がある。何故なら、ライダーに力が入っていると、回転運動による反動でポジションに動きが出てしまってスムースなスピンを妨げるからである。 スピンの最重要要素は、バランスバックで、バランスバックをさせるために馬の柔軟性と可動域の大きさがこれを可能にしているので、もしスピンに問題が発生したときは、バランスバックと馬の柔軟性を矯正して、これを修正することで大凡は解決するのである。 スピンは、レイニングのマヌーヴァーの中でリスクの大きいパフォーマンスで、停止の位置が正しくなければ容易にペナルティが科せられる。 特にスピードの速いスピンは、指定の場所で正確にストップすることがリスクとなる。 私の場合は、ストップの合図を「Whoa ウォー」というヴォイスキューを使うことにしている。極力レインプレッシャーを使わないようにしている。 このためにスピンをストップする際、レインをリリーすると同時に「Whoa」と声をかける。このとき馬が直ぐにストップしなかったとき、数ステップバックアップさせる。そして再びスピンして「Whoa」という。これを何回か繰り返せば、馬が「Whoa」でストップするようになるのである。
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