先ず、スタートである。
スタートするときに私の場合は、必ずルーズレインで行うことにしている。左右のレインを均等に保ちその中心に馬のヘッドを置く、
そして決めたリードをピックアップしてスタートする。
このとき、バランスバックしてロープ発進したいと考えている。
後肢へ体重を充分負重して発進するようにすれば、ランダウンを最後までバランスバックのままで完走することができ、
もしスタート時点において、バランスフォーワードで発進してしまうと途中でバランスバックへと切り替えなければならないが、
この切り替えは大変難しいので、バランスバックでスタートすることは大変重要だと考えている。
ルーズレインで発進しながらバランスバックするようにするためには、スタート直後にストップする。
それもビットを当ててストップを命じて、バックアップする。そしてまたルーズレインで発進して、その直後にビットを当ててストップする。
これを繰り返すと、馬はルーズレインで発進しようとも馬は、後肢へと充分体重を負重して発進するようになるのである。
現象としては、馬がルーズレインのままでも発進を命じると、一旦頭を下げてから後肢で発進するような態度を見せるようになるのである。
そして、目標として決めた目印に向かって、直進する。
このとき私の場合は、外方脚の位置が目標へと向かうようにしている。つまりそれは、馬の外方前肢のステップが目標へ向かってステップすることを意味する。
このような目標は、誰でもが分かりやすく決めればいいことで、私の場合が正しいということはない。
感覚的に自分が目標に向かって直進しやすい方法を、設定すればいいのである。只、目標を予め決めておいた方がいいと思う。
次に、ストライドのエクステンドとスピードアップである。
バランスバックでスタートした馬に対して、そのままスピードアップを命じればいいのであるが、
このスピードアップを命じるのに私の場合は、極力シードのみで行うようにして、シートで押すようにしそれで上がらないときに脚を使うようにしている。
何故なら、脚でスピードアップを促すと、ライダー自身に力が入ってしまう要因になるので、
なるべく避けるようにしている。そして馬のスピードの伸びを更に上げたいときに、使う脚がより効果的になると考えている。
これも、その人によって自分の考えで決めればいいことだから、自分で決めて行って欲しい。
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フェンスへ向かったときに、最初の段階では、スピードもミディアムで「ウォー」のボイスキューを出さないで行う。
そして、馬がフェンスを怖がらなくなって、最後まで直進するようになるまで行うようにする。
この段階でスライディングの成果についてはあまり気にしない。失敗であってもなくても、フェンスまで直進性を保っていることを優先して行う。
馬が、リラックスしてフェンスまで直進するようになったら、スタートして馬が指示待ち状態を1〜2ストライドで堪忍できたら、
スピードアップを指示する。そしてそのままスピードを上げつつフェンスまでランダウンする。
このとき馬がフェンスを左右に避けようとした場合は、原則的に馬が逃げた方と逆方向へ巻くようにして注意を促す。
前にプッシュしたときは、バックアップするように注意する。
通常は、必ずバックアップする。このバックアップにおいて、後肢が馬体の真下へ踏み出すようにバックアップのステップをするように要求する。
そしてまた、ルーズレインでスタートを促すが、先ほどのランダウンでバランスバックが充分でないと感じた時は、ゴーストップを何回か繰り返すようにする。
更にストップしたときに、前肢に力が入っている感じがしたときは、インサイドレインを引いて大きく馬の首をベンドさせて、巻き乗りをするようにして、
前肢の横へのステップを要求する。
前肢の横へのステップを求めると、前肢へ体重を負重したままではしにくいので、後肢へ負重するようになって前肢への力点を取り除くができると考えている。
馬を巻く場合でもバックアップする場合でも、絶えずバランスバックを促すことを目的に行っていると考えることができるのである。
ストップの時に、どうしても前肢がロックしてグランドに突っ張ってしまう馬の場合は、
ロールバックを多用して、ストップ直後に左右へターンさせられることによって、
馬は後肢へ負重するようになって前肢の突っ張りを無くすことができると考えられている。
スライディングストップは、馬にとってもライダーにとってもハードなパフォーマンスであり、
レインニングを代表するものでもある。だからこそ優先課題を重視してスライディングストップの成果を一番後回しにして、
結果としてスライディングストップの成果を果たすことが大切だと考えている。
2011年1月1日
著者 土岐田 勘次郎
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