2018年4月号
今月のテーマは、先月に乗馬における「言語」について記事をアップしましたので、この言語を踏まえてエクササイズをテーマにしたいと思います。
レイニングホースのトレーニングにおけるエクササイズには、様々なものがありますが、レイニングのマヌーヴァーであるスピンやストップやリードチェンジやロールバックやサークルのガイドなどを想定して、馬の前肢や後肢やショルダーや後駆の動きをより柔軟により可動域の拡大や反応の的確さを求めるために行うものです。
同時に、バランスワークやフレームワークがこれに含まれます。
先ず、ノーズエクササイズは、直径4m〜5mのサークル運動でノーズを内方と外方へ交互に向けて、ネックやショルダーの柔軟性を養うものです。このとき重要なことは、一定のカデンスやステップの角度とサークルの軌道を維持しつつ、ノーズを内方と外方へ向けることです。
軌道を守ったままノーズを内方と外方へむけさせられることによって、ショルダーの関節の柔軟性やステップの対応力を求められるので、能力の向上に繋がるのです。
そして、乗馬の「言語」で解説すれば、ノーズを内方へ向けるとは、ショルダーの内方のラインを越えてノーズをより内方へ向けるとか、ショルダーの外方のラインを越えてノーズをより外方へ向けるとかのように意識して、このエクササイズをすることが大切で、言語として成立させてエクササイズをすることは、要求が明確になるので馬に対するプレッシャーをリリースに一貫性が生まれます。
次に、リヴァースアークです。
リヴァースアークは、内方姿勢で直径4〜5mのサークルを描き、外方後肢のインサイドステップをより大きく内方へステップさせて、サークルの方向を逆方向へ切り替えることです。例えば、左サークルを内方姿勢で行っていれば、右外方後肢のステップをより大きく内方へステップさせることによって、右サークルへと転換します。また、この逆に右サークル内方姿勢で行っていれば、左外方後肢をより大きく内方へステップさせて、左サークルへと転換します。
このときリヴァースした場合、左右共に外方姿勢でサークル描くことになります。
そして、リヴァースした後は、最低2周のリヴァースを続けて元のサークルへ内方姿勢で戻ります。何故最低2周なのかは、もし1周毎にサークルの方向を変えると、馬が覚えて勝手にサークルの軌道を変えようとしてしまう畏れがあるから最低2周以上続けることによって、サークルの転換を馬が予測しないようにするためです。
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これを、乗馬の「言語」で表現すれば、外方後肢が内方前肢の位置を大きく越えてよりインサイドステップさせることによって、サークルの軌道を転換するということです。
次に、内方姿勢でより馬をベンドさせてストレッチするエクササイズは、馬をベンドさせるそのポイントを明確にすることが重要です。ネック、リブケージ、フランクの3点です。
ベンドさせるポイントがネックの場合は、ショルダーの位置に対してヘッドをより内方へ向けるようにします。内方のゾーンは、ヘッドとショルダーの間で、ビットのピックアップをこのゾーンで行います。
このとき注意すべきことは、ビットをテイクしたときに感じる手の感触です。ネックの柔軟性が高まればビットの感触はとても柔らかく感じるようになります。
次に、リブケージをベンドさせるポイントにする場合は、実際にリブケージが曲がることはありませんが、内方脚でショルダーが内方へ移動しないようにガードして内方のレインを内方脚の後方へ引きます。こうすることによって、前肢は内方へステップしますがショルダーが内方へ移動しません。内方脚の周りを前肢がステップするようになります。
このことによって、リブケージをストレッチすることになるのです。
次に、フランクをベンドさせるポイントにする場合は、内方後肢をインサイドステップさせないように内方脚でガードして、インサイドレインをなるべく後肢の位置に引くようにします。内方後肢がインサイドステップしないでレインを引かれることでフランクがストレッチされることになり、後肢が直線運動しながら前肢だけがインサイドステップするようにします。
ノーズエクササイズは、ガイドの精度を上げることができます。またリヴァースアークは、リードチェンジやディパーチャーの精度を上げることができます。ネックやショルダーやフランクのストレッチは、スピンに精度を上げることができます。
そしてこれらのエクササイズやストレッチで、フレームワークやバランスワークが容易になり、スピードコントロールやスライディングストップのレベルアップをすることができます。
パフォーマンスのレベルや精度を上げるためには、そのパフォーマンスに関わる馬のパーツの柔軟性や可動域の拡張を図ることを考えて、トレーニングすることが大切です。
そのためにエクササイズやストレッチをするので、馬のどのパーツを柔軟にしたり可動域を拡張したりするのかを明確にして、行うことが重要なのです。
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