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    VOL.98「リレーションシップ」

 2018年6月号

 今月のテーマは、リレーションシップです。

 リレーションシップといって、すぐにピンとくる人は少ないと思いますが、要は馬の複数のパーツが連携し動いて一つの動作をすることを解説したいということです。

 ここでライダーが意識しなければならない主な馬のパーツとは、ヘッド、内方前肢、外方前肢、内方後肢、外方後肢です。

 さて、馬にはステップのコマンドというものがあります。
 それは、前肢も後肢も内方肢に対して外方肢が外側の前方を回って、クロスステップするのが正常なステップで、このことをステップのコマンドと定義します。

 そして、レイニングホースは、斜体速歩や斜体駈歩の運歩だということも知っておく必要があります。
 馬は、基本的に斜体の運歩ですが、特別に訓練されたテネシーウォーキングなどは、側対速歩や側対駈歩をしますが、ここではこのことを考慮する必要はないでしょう。

 さて本題に入ることにしましょう。

 サークル運動におけるディパーチャーについて考えてみると、例えばレフトリードの駈歩発進は、右後肢が右前肢の位置に対してより内方へステップする必要があります。

 このことは、単に右後肢だけが働いているわけではないのです。右後肢のインサイドステップと真逆の方向の運動エネルギーが右前肢に働き、右後肢と右前肢との間で右回転モーメントが生まれてレフトリードのディパーチャーを行なっているのです。
 つまり、右後肢と右前肢との右回転モーメントというリレーションシップが機能しているということなのです。

 ライトリードのディパーチャーは、レフトリードの時と真逆で、左後肢と左前肢との間で、左回転モーメントのリレーションシップが機能しているのです。

 このリレーションシップが機能しなければ、正しいリードディパーチャーではなくなるということなのです。


 従って、リードチェンジの場合も同様で、レフトリードへ移行する場合は、右後肢と右前肢との間で右回転モーメントを作り、ライトリードへ移行する場合は、左後肢と左前肢の間で左回転モーメント作ることによってなされているのです。

 以上がリードディパーチャーにおけるリレーションシップです。



 次に、スピンの場合は、リードディパーチャーと全く同じで、左スピンの場合は、右後肢と右前肢との右回転モーメント、右スピンの場合は、左後肢と左前肢との左回転モーメントのリレーションシップが機能しているのです。

 更に、馬の内方姿勢や収縮などのフレームワークにおいても、左内方姿勢の場合は、右後肢と右前肢との右回転モーメント、右内方姿勢の場合は、左後肢と左前肢との左回転モーメントがリレーションシップとして機能する必要があります。
 収縮姿勢は、屈撓姿勢において馬の頭頸からショルダーまでの前駆は、上方向へ、後駆は下方向へ、馬を左横から俯瞰した場合、右回転モーメントが機能することによって形成されるのです。

 つまり、フレームワークにしても、リードディパーチャーにしても、その時の作用点と支点に該当する馬の二つのパーツにおいて、左右どちらかの回転モーメントというリレーションシップが機能しているということがいえるのです。

 従って、ライダーは、馬のフレームやモーションをコントロールするとき、馬の支点と作用点に該当する2つのパーツのリレーションシップを意識下において、左右どちらの回転モーメントを発生させることを考慮して、馬のコントロールをしなければならないのです。

2018年5月10日
著者 土岐田 勘次郎

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