Horseman's Column title

VOL.37  「フィニッシュトレーニング」
       バックアップ アンド ロールバック

 今月は、フィニッシュトレーニングにおけるバックアップとロールバックだ。


 フィニッシュトレーニングとは、ファンデーションに対して使う言葉で、完成形としてそしてショーイングのこととを合わせて行うトレーニングのことだ。
 

 また、私は、トレーニングの根本的システムとして、正解法と消去法との2つに大別して考えていて、その正解法とは、正しいことを強制力によって極力馬が正しい反応のみをするように、拘束してトレーニングする方法で、一方消去法とは、極力強制的に拘束しないで、指示命令をキューイング(合図)によって馬に伝え、色々な選択肢の中から馬が能動的に、ライダーが要求する反応をするように、馬が正しい反応をすればプレッシャーをリリースし、間違った反応をすればプレッシャーをより強くして、トレーニングする方法だ。


 そして、サドルブレーキングからスタートしたトレーニングの一応の集大成として、フィニッシュトレーニングがあり、それは基本的に消去法を主体的に取り入れたトレーニング法で、主にショーイングのことをイメージして行う。


 さて、バックアップには大事なことが2つあって、一つはステップもう一つは方向性だ。

 私は、馬のステップを2種類に分類している。馬が動くということは馬の重心が移動することで、この場合重心の移動が先に起きてこれを支えるためにステップが始まる場合と、先にステップが起きてそのステップに重心を乗せて運動するということとに分かれる。

 そしてバックのアップの場合、重心移動が先に起きてそれを支えるためにステップすると、馬のヒップより後方へ後肢が後ろへ後ろへとステップする。一方ステップが先に始まって、そのステップへ重心を乗せるようにバックアップする場合、馬の後肢は馬体の下で後方から前に押し出すようなステップを見せるようになる。

 そして、重心移動をステップによって起こす、つまり先にステップをはじめてそのステップに重心を乗せていくようなバックアップが望ましい。
 何故なら、このバックアップすることによって、後肢の運動や踏み込みが深くなったり活発になったりするので、馬術的な言い方をすれば収縮ができて、チェンジリードもスライディングストップもスピンにも、それらのコアとなる後肢の踏み込みというスキルが馬自身に身につくし、勿論バックアップにとっても馬の重心が後肢に十分負重するので、前肢の負担が軽くなりかつ後肢の踏み込みが深くなるので、バランスをとるために馬が自然に頭を下げるようになる。


 バックアップの方向性は、前肢でも後肢でもそのステップの方向性で決めることができるし、その両方のコンビネーションでもまた決まる。

 トレーニングとしては、前肢ステップを真っ直ぐに保って後肢のステップを左右へと曲げたり、その逆に後肢のステップを真っ直ぐに維持して、前肢のステップを左右に曲げたりコントロールできるようにしておく必要がある。
 ただ、ステップの角度が左右どちらかに角度を持ったりする場合と、左右のストライドの長さが違う場合とがあって、ライダーは基本的に左右の肢のストライドは同じ長さにしたいという立場で、バックアップの方向性はステップの角度によって決めていきたい。

 そして、バックアップの時には、後肢のストライドの長さが違ってそのストライドの短い方へと曲がってしまうということがよく起きる。
 後肢のステップ角度を自由にコントロールできるようにトレーニングを、十分行っておくことによって、左右の後肢にストライドを均等することができる。

 更に、レインによる左右均等のプレッシャーによって、馬がストレイトにバックアップするようにする。これがバックアップにおけるフィニッシュトレーニングだ。

 私は、基本的にビットを当ててバックアップするようにしている。何故ならショーイングを考えると、ルーズレインでバックアップをした場合に、万が一ロールバックされてしまうと、そのリスクはとても大きいので、必ずビットを当ててバックアップするようにしている。


 ロールバックとは、スライディングストップの後に呼吸を入れずに180度ターンをしてロープ発進するパフォーマンスだ。

 オーソドックスなトーニング法は、ライトリードでスライディングしたときは、レフトロールバックして、レフトリードでスライディングしたときは、ライトロールバックをするようにトレーニングする。
 こうすることによって、外方後肢の踏み込みを深くすることができると考えられている。何故なら外方後肢側へロールバックするので、外方後肢へ重心を負重してターンするので、馬は自然に外方後肢を踏み込むようになるという理由だ。

 3ミリオンダラーライダーのショーンフロリダのロールバックは、素晴らしいと定評がある。この人は、ロールバックのトレーニングは、ライトリードでのランダウンの後のロールバックはライトへターンし、レフトリードでのランダウンの時はレフトロールバックをするようにトレーニングする。
 参考までに、色々なトレーニング法があることを紹介しておくことにする。

 また、要注意事項は、
「ロールバックは180度ターン」することだ。

 スライディングの良いパフォーマンスをしたとしても、ロールバックが悪いとジャッジの印象はかなり落ちるだけでなく、3〜4回スライディングストップする内の2回は、ルールブックにロールバックと書いてあり、スライディングストップとは書いていない。  それだけにレイニングにおいてロールバックは重要視されているパフォーマンスなのだ。


 そして、その中でロールバックにおいて180度ターンすることはとても重要な点で、そのためにトレーニングで良くやるのは、270度ターンしてロープ発進することで、こうすることによって、180度のターンを確実に難なくするようになるのだ。


 特にロールバックにおいてのパフォーマンスは、ターンしてロープ発進することなので、どうしてもロープ発進を重要視してしまう傾向にある。馬にとってターンが容易になればロープ発進することは困難ではなくなるので、トレーニングの時点でターンの後にトロットが入ってしまっても、あまり気にすることはない。
 まずターンをスムースにできることが優先だと考えなくはならない。

 私の場合は、外方のレインをネックにタッチするのがロールバックのキューイングで、外方レインをネックにタッチして、馬の反応を待ちターンが浅かったり反応が鈍かったりすれば、インサイドのレインをテイクするように、必ず外方レインのネックタッチを先ずして、馬の反応を待つように心がけてトレーニングする。
 バックアップと区別するために、レインタッチしてロールバックするようにする点も注意しなければならないと考えている。

 また、ロールバックの後にバックアップするパターンが多いので、バックアップとロールバックのキューイングが馬にとって紛らわしくならないように、注意することが重要だとも考えなくてはならない。




                   2010年3月1日
著者 土岐田 勘次郎


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