VOL.21 ポジショニング |
馬のステップには2種類あって、それらを別々に行っている訳ではないが、大別することができるのです。 一つは、メカニカルムーブメントといって、ウエイトバランスの不安定が起きて、それを安定するためにステップをする。もう一つは、テクニカルムーブメントといって、ステップをしてウエイトバランスを移動する。 ウエイトバランスの不安定を引き起こして後にステップする運動は、馬の筋肉疲労を軽減できる特徴を持ち、スタートのスィッチを押すことで、運動をスタートすることができるが運動中にその運動をコントロールしにくい。何故なら、ものが高いところから落下するのと同じ運動なので、落下している最中にその運動を止めることは困難だからです。 一方もう一つの、ステップしてから重心移動を起こす方の運動は、運動を起こすために比較的大きなエナジーを必要とするものの、運動をコントロールしやすい。何故なら、ものを持ち上げる運動と一緒で、駆動によって重心移動をしているから、運動自体をコントロールしやすいのです。 そこで馬が運動する上で、最も駆動力を発揮しているのがどの脚なのかが問題になるわけです。 そしてまた、ライダーのポジショニングにおいてのウエイトシフトは、前傾はフォーワード、後傾はビハインド、スティラップを踏み込めばフォーワード、シートにシフトすればビハインド、というようになります。 |
レイニングでは、アクティブでスピードの伴うパフォーマンスが多く、メカニカルムーブメントになりがちですが、全てのモーメントにおいてライダーのコントロールが求められるから、メカニカルムーブメントであれば、前述のように運動エナジーが少なくてスピードアップがしやすいものの逐一コントロールすることが難しいし、テクニカルムーブメントであれば、コントロールしやすいものの消費エナジーが大きくスピードアップがハードになるという特徴があり、相反するものを包含するのがレイニングのパフォーマンスだということができるのです。 前傾すれば、メカニカルムーブメントになりやすく、後掲すればテクニカルムーブメントになりやすい。そして、スティラップへ寄り負重すればメカニカルムーブメントに、シートにより負重すればテクニカルムーブメントになりやすいのです。 これらのメカニズムを駆使して、スピードコントロールやランダウン、ロールバックやスピン、そしてチェンジリードなどのパフォーマンスにおいて、このライダーのポジショニングによって、ウエイトシフトを馬の運動により有効にメカニカルムーブメントとテクニカルムーブメントを考慮し、極言すれば相反するファクターである運動エナジーの軽減とコントロールの二つを獲得して、パフォーマンスしなければならないのがレイニングなのです。 2012年 元旦 著者 土岐田 勘次郎 |
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