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新年明けまして
おめでとうございます。
レイニングにおいて代表的なパフォーマンスであるスライディングストップを、今月のテーマとして取り上げ、
そのためのトレイニングであるフェンシングにおいて、ライダーに求められるものを解説したいと思う。
何故、スライディングストップのトレイニングでフェンシングを行うのか。
それは、ウエスタン乗馬における馬のトレイニングのポリシイーがここに見ることができる。
それは、馬に対してある状況を与えて、その状況の中で必然的に馬自ら運動のメカニズムが機能して、
そのパフォーマンスを学習するというものである。
フェンシングとは、レインを引いて馬にストップを強制するのではなく、
フェンス(アリーナの向こう正面の壁)にぶつけるようにすることによって、スライディングストップのトレイニングをするもの。
スライディングストップにおいて求められる優先課題は、バランスバック、直進性、コンスタントなストライドの伸展(エクステンド)とスピードアップだ。
それに、ネガティブな要因として、ライダーの指示があるまで馬がストップを意識しないことが上げられる。
馬がストップを前もって意識するようになると、勝手にストライドが短くなったりスピードが落ちてしまったり、
勝手にスピードアップしたりして、結局スライディングが上手くいかない原因となるのである。
絶えずストップの合図をレインやボイスで送っていると、どうしても馬が前もってストップを意識してしまうようになるので、
フェンシングすることによってこれを防ぐことができる。馬がフェンスまでストップを意識するということがなくなるのである。
バランスバックとは、馬の重心を後肢へより多く負重するようにすることをいう。
馬が通常停止した状態は、多少個体差があるが前肢:後肢 ６：４の割合だといわれており、
前肢がより多く体重を支える役割を果たし、後肢が駆動する役割をより多く果たしているといわれている。これをバランスフォーワードという。
しかし、スライディングストップの時のランダウンは、バランスフォーワードのままだと前肢にストップ時の負荷が多く掛かってしまうので、
後肢の踏み込みをより深くすることによってバランスバックし、ストップに備えるようにするのである。
直進性とは、真っ直ぐ走るというもので、厳密にいうとレフトリードであれば右後肢(外方後肢)、
ライトリードであれば左後肢(外方後肢)が、左右の前肢の間に向かってステップして直進する。
もし、外方後肢が左右の前肢の内側や外側に向かってステップすると、馬がスライディングストップをし難いだけでなく、
グランドを曲がって滑るようになってしまうのである。
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スライディングが曲がるようになれば、ショーイングではスコアが低くなってしまうし、
ライダーのバランスを崩しやすくなったり馬自身のバランスも悪くなったりするので、
結局はスライディングの精度が悪くなる原因になるので、直進性もまた重要なファクターだといえる。
ステップの方向性は、運動エナジーのベクトルが馬の重心を通過することを実現して、ステップのベクトルが馬の重心を通過しなければ、
運動エナジーのベクトルが幾つもの線として錯綜するようになって、複雑なモーメントが発生し、
直進性が悪くなったりスライディングが曲がったり馬がバランスを崩すようになってしまったりするのである。
ストライドのエクステンドとは、スライディングにおけるランダウンは、サークル運動の重心バランス(バランスフォーワード)
と違い後肢への負重をより多くして(バランスバック)、後肢で駆動しながらストップに備えなければならないので、
ストライド(歩幅)をエクステンドして(伸長)スピードアップすることが要求されるのである。
ストライドをエクステンドしてスピードアップしなければ、ステップの回転が上がるばかりで、
小刻みなステップを速いスピードで繰り返ことになり、バランスバックが起きずに、
前肢でストップしようとして前肢の故障の原因となるのである。
ライダーにとってもフェンシングは、とてもスライディングストップを上達するのに効果があると考えられる。
先ずポジショニングは、ライダーの視線が斜め上の前方を(少なくても自分の目の高さよりも上)見ることによって上体が起きて、
感覚的に馬の後肢に自分の体重を負荷させているようにシートポジションをもつようにし、
更に鐙に肢を軽く乗せるようにしてしっかりと鐙を踏まないようにし、サドルのシートに充分な体重を預けるようにしなければならない。
鐙をしっかりと踏めば、馬の前肢に力を入れさせるようにしてしまう原因になったり、
ライダーの負荷が前肢寄りになってストライドをエクステンドできなくなったり、
重心が後肢ではなくて前肢に負重してしまう原因になってしまうので、スライディングの精度を上げる事ができない。
スライディング時に馬の前肢に力点があるようになると、前肢の故障の元になってしまう。
前肢の間接が後ろにしか屈曲できないので、前肢に力が入ってしまうとその間接を前に屈曲させるモーメントが働いてしまうので、
屈腱炎や靱帯損傷を引き起こす可能性が増すのである。
そして目線を斜め前方へ向けて、目標をしっかりと持つ。目標を持つことによって、
馬の直進性を維持することができるのである。
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