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ウエスタンBライン

 第四部 VOL.21(No.7)  TEAM ROPING 4

 を通路からシューターと云う囲いの中に追い込み(ここまでは俺も一緒、これから先はプロ)牛を傷めないように角の所に保護具を装着する。又、スタンガンに長い柄をつけたもので牛に刺激を与える道具このように準備は着々と進められていく。
たった一週間だったが限られていた日程の中どれだけ学ぶ事ができたのだろうか?我流で始めプロの前で投げ実際に牛を追わせてもらいその難しさ奥の深さを身に感じながら一つでも身に付けていこうと努力してきた一週間だった。
 馬をBoxの中に入れる。(Boxは左右にあり陸上の短距離選手がスタートの時に足の裏に盾みたいのを置くあの役目)
合図を送る、扉が開く、牛が飛び出す、馬に合図ともにダッシュ、それを繰り返す。時には馬の猛ダッシュに体が遅れ後ろに置いていかれそうになった事もあったのだ。Roperが飛び出す前にサドルホーンに掴まっているのはこの為、やはり彼等の仕草々々にはそれなりの意味がある。12、3回程投げたかな、今回は牛の角 首に掛かったらサドルホーンに巻きつけるDarryも試みた。しかし疲れる。馬も疲れると思うし牛も疲れる、そして慣れてくるから走らなくなってくる、本当は自分が一番疲れたのだ。後でTOKIから
「いいのが4回程あった」
とJackが云ってたと聞かされた。
 午後(帰る仕度済ませ)Dummyに軽く投げていたら高校らしき娘さんが家族と遊びにきたので、Jackが娘さんに
「投げて見せてやりな」
自分で持ってきたロープ缶から(ロープが型崩れしないように収めて置く入れ物)Ropeを取り出して慣れた手つきでRopeのシューッと擦り合う音共に回す。Dummyに軽く投げる、いやいや実に上手い。
"簡単に投げやがんの"思わず呟いた。
名残尽きないが、別れの時が一刻々々近づいている。不安でスタートしたアメリカ、一週間が退屈で長いのではと思ったり、本当に教えてくれるのか、どこまで教えてくれるのか、どこまで学べられるのか、こんな気持ちを一日目で吹っ飛ばしてくれたJackと家族、友人達、少なくともあと一ヶ月は滞在したいのが本音。
「Jackありがとう」
胸に込み上げるものを抑え暗記した英語で別れを告げオクラホマ州アードモアの夜を最後に。
 滞在期間中結局最後まで熟睡する事なく朝を迎える事になったレストランで朝食を済ませて車に乗り込み出発した。残り後1日。
「折角来たのだからせめて」
西部劇の好きな俺のためにTOKIの計らいで西部の町ダラス・ホートワースでの観光をさせてくれたのである。途中州境レッドリバーの川原で小休止、川幅は思ったほど広くはない一見我がふるさと坂東太郎利根川の方が大きいよ、水は茶褐色で濁っている川原は砂じゃなかった。でも気分はジョン ウェイン。テキサスに入った。進むに連れて車の数も少なく感じる、道路両サイドは牧場に変わるものが現れた。
油田を掘る機械、それに風車とくれば"映画ジャイアンツ"である。私有地の境から寝台車で半日でも母屋に着かず敷地内に駅まである。今思い出してみても西部劇映画+テキサスと言っていいくらいだった。だからアメリカの州を最初に覚えたのはTEXASじゃないかな。
く蜃気楼が現れる高層ビルが何本も建っている。ダラスだという"近くて遠いは田舎の道"見えているのになかなか着く感じがないのだ。だが街に近づくに従って俺の頭の中はローハイドのロディ イェーツからダ―ディハーリーのハーリー キャラハンに変貌、高層ビルの谷間、立体する道路、ビルの陰から疾走する犯人の車を発見タイヤの摩擦の匂い、それを追うキャラハンの44マグナムが火を噴く、そんな事を想像しているうちにビルディングは遠く去り目の前には1900年初期の街(見たことはないが)
"あの街の中心部に今夜宿泊するホテルがある"とTOKIが云った。のっぽのビルは一つも見えないが近づくに連れて煉瓦造りや木造作りの建物が目立つ、もしかして西部の町?
 じめは町の周りを案内してくれているのかなと思っていたがTOKIは何かを探しているみたいだ。同じ場所を何度も通るので道を間違えたのかな、でも本人は幾度も来ているはずだが
「どうしたの」
「いや 町の中に入れないんだ、どの道も封鎖している」
そう言われれば街角の道路には観光客とはちょッと違う人達がテントや柵(バリケード用)に集まっているようにも見える。見落としたのかはたまた柵が外されたのか町の中に入れる道を見つけたがやはり途中がバリケード仕方なく
「ここで待っていて ホテルはこの先にあるから駐車場を聞いてくる」
そう云うと町の中に走り出した。不安ながらも車のフロントガラス越しに横断幕が見える、ホートワース ストックヤードと書いてある。その奥に目に写ったものは馬上の人それもなんとCowboyでなく騎馬警官それも婦警ときているこちらへと歩いてくるのだ。車から15m程手前で止まったフル装備だ。胸にはバッチ、ベルトには警棒、手錠、無線機、拳銃(本物だろうなァ?)
「実に格好がいい これがまた美人」
婦警さんが動きだして今度は左斜め後ろ2 3mの所に陣取った。そこへTOKIが戻って来て
「今夜は町を上げてのお祭りなおで道路を封鎖しているんだって とりあえず荷物をホテルに置いてから車を駐車場に預けるのでRowdyさん前の柵を取り除いて」
「よしゃ」
俺は車から降り無事目安がついて安心したのか後ろに敵(婦警さん)がいるのを忘れてしまい柵に手を掛けた、その時!!

                                               つづく

 


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