Arena Condition(乗馬の駈歩相談室)

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AM 9:15 Temperature 6.8℃  Humidity 69%  曇り  December 11,’25(Thursday)

 

今朝は、曇っていて風はありません。

馬場は、ベストコンディションです。

 

 

フレームワーク(馬の姿勢)

 

馬の姿勢は、ライダーの強制力を以て形成することができるのである。

 

馬の姿勢とは,馬体をどんな形にするかということで、極論すれば馬体を曲げるということで、ライダーが馬の背にあっても、物理的力を以てできるのである。

レインを脚またはシートを支点にして引けば、その力で馬体を曲げることができるのである。

 

ライダーのレインハンドと脚とシートとを作用点と支点の関係性によって、つまり、作用点であるレインを、支点である脚やシート以外のところへ引くことで、回転モーメントを作り、馬の姿勢形成をすることができるのである。

 

馬のフレームワークは、重心と4肢との位置関係性をコントロールすることが目的として行われるものである。何故なら、馬体が曲がれば、4肢の位置が変わり、当然質量の中間点である重心と4肢の位置の距離が変わることになるからである。

 

馬術的には、バランスフォアとバランスバックというのがある。

 

馬の重心は、第4肋骨付近にあり、ライダーのシーティングや馬の首の伸縮や後肢の動きなどによって、その位置が変化するのである。

 

バランスフォアは、メカニカルムーヴメントになり、ノーズファーストともいって、重心移動の後にステップするムーヴメントで、下り坂を下るようなムーヴメントで、筋肉運動を最小限にする省エネ運動なのだが、その一方制動性が悪いムーヴメントなのである。

また、バランスバックは、馬の頭を起揚させて重心を後方へ移行させ、後肢のステップによって重心移動するムーヴメントで、筋肉運動によるムーヴメントで体力の消耗が伴うムーヴメントなのであるが、制動性の高いムーヴメントなのである。

ウエスタン乗馬は、元々牛の動きに対応することから始まったもので、そのために馬の運動神経を活用しなければならい必然性があって、そのために、ルーズレインで馬をコントロールすることから、馬の前駆を起揚させることができないために、後肢の踏み込みを深くさせることで、筋肉運動を活発化させて制動性を上げているのであり、厳密にいえばバランスバックせずに、後肢の踏み込みを深くして、バランスバックと同じ効果を現しているのである。

 

 

  • 収縮(Collection)

 

収縮とは、馬の重心の真下に4肢を集めることである。

学者によれば、コレクションを収縮と訳すと、馬体が蛇腹のように伸び縮みするようなイメージになり、誤解を生むので、本来は収足と訳す方が適切ではなかったのではといっている。

実際には、馬の脊椎は垂直方向にも水平方向にも屈曲しないので、馬の背が曲がるということはなく、馬術書の中には、サークルの輪線に沿って馬体が湾曲している図を見ることがあるが、これは間違いなのである。

 

話を戻すが、球体は、理論上一点でこれを支えている状態なのである。

つまり、1tの球体でも支点は1点なのである。従って、指一本でこの球体を押せば、動かせることになるのである。つまり、馬の収縮の目的は、重心の真下に4肢を集めることで、小さな力で馬体を動かすことがでる態勢なのである。

収縮は、馬が動くことにおいて、極めて小さい力(運動エネルギー)で動ける態勢なのである。

 

物を支える支点が、その物の重心に近ければ近いほど、小さい力で動かすことができ、支点が重心から遠ざかれば遠ざかるほど、そのものを動かすために、大きな力が必要となるのである。

視点を変えると、支点が重心に近づくと、支持力が小さくなってアンバランスになるので、小さい力で動かせるのである。支点が重心から離れると、安定して、大きな力でないと動かせないということなのである。

従って、収縮の目的は、小さい力で馬を動かせるようにすることなのである。しかし、この収縮は、アンバランスになるので、ライダーのバランス力がもとめられることにもなるのである。

 

収縮を形成するためには、レインを真上に引き上げるようにして、ライダーが鐙に踏ん張らずにシートに体重を掛けるようにすれば、馬体を左側面から俯瞰すると右回転モーメントが生まれるので、馬の前駆を持ち上げ、後駆を押し下げるように力が働き、結果的に馬の4肢が、重心の真下に集まるようになるのである。

 

 

(ロ) 屈撓

 

屈撓は、ライダーや馬の重量が馬の背にかかっているので、この負重に耐えられるように馬の顎を引かせるようにして、項靱帯や背筋を引っ張ることで張力を高めているのである。

屈撓を形成するには、収縮と同じようにレインハンドを真上に向けレインを引き上げ、このとき鐙に踏ん張ってこれをすれば、馬の前駆において右回転モーメントが生まれて、馬が屈撓するようになるのである。

 

 

  • 内方姿勢と二蹄跡運動(トゥートラック)

 

内方姿勢の目的は、外方後肢のステップがサークルの内方から外方へグランドを引っ張り、遠心力と闘うことができるようにすることであり、このことで、馬体がフラットのままサークル走行ができるようにしているのである。

更にまた、外方後肢の推進エネルギーを、重心を通過し内方前肢へ向かわせるようにすることなのである。推進エネルギーが重心を通ることは、エネルギー効率を上げるために必要なことである。つまり、必要最小限のエネルギーでの運動を可能にするためなのである。

そして、駈歩のときのリードが正しく選択されることになるのである。

 

例えば、左内方姿勢の場合は、右外方後肢と左内方前肢が一直線上に位置することになり、右後肢から左前肢へと推進エネルギーが向かい、左リードが選択されるのである。また、右内方姿勢の場合は、左外方後肢と右内方前肢が一直線上に位置することになり、左後肢から右前肢へと推進エネルギーが向かい、右リードが選択されるのである。

 

日本の乗馬界で、内方姿勢についても誤解があって、馬の頭をサークルの内方へ位置させると理解している人が多いのである。これは間違いなのである。

馬の脊椎が硬直しているので、推進エネルギーが馬体の対角線上を通ることで、重心を経由するために内方姿勢があるのであり、外方後肢と内方前肢を一直線上に置くことが目的なのである。

従って、馬の頭をサークルの内方へ位置さることを優先するとでは、推進エネルギーのベクトルとは関係性がないばかりではなく、むしろ、外方後肢がステップアウトしてしまうリスクが発生するのである。

 

内方姿勢を形成するためには、左右のレインをライダーの外方の肩に向けて引き上げると、自動的にライダーのシートは、内方の下方向へ馬の背中を押すことになるのである。

 

馬を真上から俯瞰すると、レインをライダーの右肩へ向けて引き上げれば、ライダーのシートは馬の背を左下へ押し下げることなり、水平方向の右回転モーメントが生まれるので、左内方姿勢が形成されるのである。この逆に、レインを左肩へ向けて引き上げれば、ライダーのシートは馬の背を右下へ押し下げることとなり、水平方向の左回転モーメントが生まれるので、右内方姿勢が形成されるのである。

 

 

  • 外方姿勢

 

外方姿勢は、サークルに対して、馬体を内方姿勢の反対姿勢を取らせることで、外方脚を支点にして馬の頭をサークルの外へ位置させるように、レインをサークルの外へ引くことで形成する馬の姿勢で、馬の頭を肩の近くに首を屈曲させれば、前肢をサイドステップさせることができ、馬の頭を馬体の後方へ位置させるようにすれば、後肢のサイドステップを求めることができるのである。

外方姿勢に目的は、前後肢共にサークルの内方へのサイドステップの可動性を高めるためで、内方姿勢を取らせたときの、前後肢共インサイドステップを容易にするためである。

 

更にまた、馬の姿勢形成において、内方と外方の切り替えを容易にすることで、推進エネルギーのベクトルを左右相互に切り替えることに繋がり、それは、チェンジリードなのである。

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