その3
Hoary Headed:
ここ10年間のヨーロッパにおけるウエスタン乗馬の定着と普及なんか見りゃあ、驚いちまうほどだなぁ。が、何故だ?と、俺ぁ考えたんだ。 戦後の日本とアメリカは、こんなに近しい関係であったのに、なんで自然な普及と正確な情報の伝達ができなかったんだろう。俺ぁ、このことの第一責任者は、ウエスタンをやってた奴らだと思うんだ。 もう一人の責任者は、と言うとだなぁ。 ヨーロッパでは、日本以上にブリティシュライディングが、圧倒的多数を占めていたにも関わらずにだ、何故ウエスタンが受け入れられたのかに、その答えがよ、隠されてると思うんだ。 同じ乗馬でも、馴染みのねぇものが入ってきたら、自分たちがやってきた乗馬が極められたレベルになってればだ、新しく入ってきた乗馬の本質を見抜くなんてことは簡単だし、それを受け入れたとしても、自分たちの自信が揺らぐこたぁねぇ。 それが日本の姿だ。 ま、俺の言いたいことは、ウエスタンの連中よ、もっと勉強せい。ブリティッシュの連中よ、もっと頭を柔らかくせい、つうことだ。 それからな、昔からの言い伝えや、教わったことを、そのままを鵜呑みにするんじゃねぇぞ。 |
今の学校教育も、知識を学ぶばかりで、体で覚えること軽視しちまって、感じて理解することや感性でものを観察することを疎かにしておる。だから危うい人間ばかりになってしまってるんじゃ。 |
Hoary Headed:
ここでみんなに、乗馬の極意をここで進ぜよう。孔子の言葉だ。 感じて学ばざれば、暗し。 これは、体で覚えたことでも理論上の突き詰めがなけりゃ、そのことを本当に理解したことにゃなんねぇ。また、学問で学んだとしてもだ、体が自然に考えなくてもできるようになんねえで、それを実行しようとすりゃ危ねぇっつうことだ。 |
孔子は、紀元前の大昔からその危険性がわかっていたっつうのに、今の日本は、誰もが知識を得ることばっかりに夢中になってしまっている。 馬に乗ってるときは、本当は乗ってる人間が馬をコントロールする以外にゃ、誰も助けることなんかできっこねぇのに、何もかもインストラクターの指示通りやってれば幸せなんだから、どうしようもねぇんだ。 馬のコントロールの方法を身につけるより、姿勢が大事だなんて真剣に思ってる奴ばかりだ。それにだ、そのことにもっともらしい理屈をくっつけてる大馬鹿者がいることが一番許せねぇ。日本の乗馬を駄目にしてる張本人が手前ぇ達なんだよ。 姿勢をつくることがバランスをつくることだなんて、大嘘こくなってんだ。一般のライダーまで、姿勢が良くならなければ、いいバランスで馬に乗れないんだなんて思いこんじゃってる。 ここまで言ってもまだ姿勢が大事なんて、世迷い言を言ってる奴の姿が目に浮かぶ。救いようがねぇぜ全く。 こんな簡単な理屈がわかんねぇやつは、豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえってんだ。 馬鹿野郎 あれー、 Hoary Headed爺さんをなだめようと思って出てきたのに、いつの間にか、わしが過激になっちまったじゃねぇか。 |
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