Q&Aタイトル
このコーナーでは、馬、乗馬、調教、その他に関するご質問にお答えいたします。
Q & A
このコーナーへのご質問を募集しています。
メールまたは、直接質問フォームにて送信することもできます。
E-Mail reining@eldorado-ranch.com / フォームはこちらです。
Q-2 ホルターブレーキングに関する質問(別) (北海道 I さん) 2/20Halter Breakingの説明部分を書き直しました

Q:昨年の9月から3歳になるクオーターホース系を調教中です。ホルターブレーキングのビデオにできるだけ忠実に実行したつもりですが、何せおっかなびっくりですので中身についてはお察し下さい。

元々人なつっこいと言いますか、物怖じしない子でしたので鞍付けもすんなり受け入れ、その日のうちに円馬場で騎乗できました。それから1〜2度後ろを人に追ってもらいながら円馬場での周回をこなしました。その後一人で円馬場に入り、騎乗する前にウオーミングアップさせようと後ろを追ったのですが、速度が落ちたのでもう少し煽ろうと思い、側面から短いロープを軽く振り回しつつ近づいたところ、高々と足を上げ蹴ってきました。もう一度同じ事をしてみましたが今度は1周しないうちに同じ反応をみせました。

蹴り上げた直後中央にいる私に向かって「今のは冗談」とでも言いたげに寄ってきました。その後はブレーキングをもう一度やり直しましたが、外乗が主になり、同じ試みはしていません。現在は鞍付けやグルーミングで後ろに回っても初心者の私でも怖い思いをしませんし、足上げもいやがる事もありませんが、少し気になっています。前述の行動をどう捉えたらいいのか、また、このままで先に進んでいいのかご教授お願いします。

A:さて、ご質問の件ですが、よろしければどういう状況で馬の調教をなさっているのか、お知らせいただけると幸いです。ご自身で飼われているのか、クラブ等に預けて週末にされる程度なのか、頻回に調教できるのか、他人が関わる度合いなども関係してくると思われます。

文面からの印象ですと、人間から逃げようとしたのではなく、単に反射的に蹴ったもののように思います。もし、近づいて行ったときに逃げようとしたり、人間そのものを蹴ろうとした場合は、人間に対する従順さがうまく養われていない、つまりHalter Breakingがうまく行われていない可能性もありますが、この馬の場合、そのあたりは問題がないように感じます。
ただ、実際に馬を見てませんのであくまでも推察ですが、いずれにしても、このままにしておくことは良いことではないと考えます。

ロープで追うと蹴るのは、ロープで追われることと、勝手にスピードを落としてはいけないと叱られたことが、馬の頭の中で一致していないのだと思います。その部分を馬に教える必要があります。なぜなら、今後も馬が同じように認識したときに蹴る可能性があるからです。

事故を予防するためにも、どんなときでも、誰が扱っても人間のすることに従順に従うようにしておく必要があります。ですから、そのときとまったく同じ状況で、蹴らなくなるまで、追うなり叱るなりしてください。

ロープでも手でも鞭でも、追われたら蹴ったり反抗したりせずに、歩度を伸ばしたり、歩様を移行(速歩を駆歩にするなど、また逆にウォーという音声でスピードを落としたり止まる)することがきちんと出来るようにしておくことが必要です。

このことは、ただ単にその指示に従うということを教えるだけでなく、馬自身に人間の指示や、誘導に対する従順性を養うことにつながります。馬を扱うときは全てが調教と考えてください。

また、Halter Breakingの考え方ですが、できましたらビデオの初めの方に話している内容を十分にご理解されるまでご覧頂くことをおすすめします。あの部分は、基本的な考え方を述べていますので、馬が行う一つ一つの行動や問題への対処は、この原理原則がご理解頂けていれば、ご自身で解決するヒントとなるものです。

Halter Breakingは、単に、馬を引いて歩くことを容易にしたり、問題を解決する「方法」なのではありません。
すべての動物が持っている
「緊張させられることからから逃避する」という本能の方向性を利用して、人間への従順性を作ることなのです。

馬は初め緊張を与えられると人間から逃げようとしますが、人間から遠ざかったときにさらに緊張を与えます。そうすると緊張を与えることを止めたときに、こちらを向いて人間に注目するようになります。
そのときに人間が馬から遠ざかるようにします。馬によってはこの段階で人間に近づいてくる馬もいます。また、そのままじっとしている馬もいます。
近づいてくる馬には、その時点で額をなでるなどして愛撫を与え、さらに緊張を解放してあげます(褒める)。
じっとして動かない馬の場合は、徐々に人間の方から馬に近づいていきます。
もし逃げるようであればさらに緊張を与え、人間から逃げることは、ますます人間から緊張を与えられるということを学習させます。
逃げないようであれば、この時点で愛撫をしてあげます。こうしてこのようなことを繰り返すことによって馬は人間に近づくことで安堵感を覚えるように学習します。

馬の額をなでることで馬はさらに緊張感から解放されますが、この時もし馬が顔をそむけたときは、追いかけてなでてはいけません。手を出しても逃げなかったときだけなでます。
また馬が必要以上に近づいたとき(鼻面で小突くなどした場合も)は叱ります。これは、人間との距離感を馬に意識させるためです。
人間の足を踏んだり、馬房で壁に人間を押しつけたりする馬はこういう意識付けが不十分なのです。これを怠ると子供などの場合、馬に小突かれたら転んでしまい非常に危険です。
(馬が顔をすりつけて来たときもかわいいしぐさに見えたりしますが、単に痒がっている場合が多いので叱って止めさせます)

人間と馬との間に「依存しても母親でなく、信頼しても友達でない」と言う理念に基づいた絶対的な主従関係関係を築くことです。しかし、命令するばかりで報いることがなかったら正しい主従関係は築くことができません。

「指示に従えば与えられた緊張から解放される」これは、すべての調教の原理原則で、このことによって高度な調教も可能となるのです。

Q:(2)先日は詳細な返信をいただき、ありがとうございました。最初にお知らせしておけばよかったのですが、こちらの状況をまずお知らせしておきます。

私自身は馬歴3年と書きましたが、1年半ほどブランクがあり、鞍数で言えば40鞍ほどしか乗っていません。昨年4月に自馬を手に入れ、9月から調教に入りましたが、現在まで20鞍強になります。調教の経験は全くありません。

現在はクラブに自馬を預託し、調教は周に1回か多くて土・日の2回です。人手はほとんど介さず、アドバイス程度です。(といっても慣れたスタッフが常時2人いて、常に目の届く範囲での調教ですのでそう言う意味では全くの自己流ではないと思います)

9月にホルターブレーキングを2回(足にロープをかけるやつが感触がつかめず、ちょっと不安だったので2回やりました)、10月に入って鞍付けをし、調馬索を3回、円馬場での調教を2回(このうち1回については前回お話したとおりです)。

11・12月は馬房から100mほど離れた、周囲400mほどの窪地のアリーナ(特に柵は回していません)で単独で5回、先導馬について2回40分〜1時間の周回。先導馬につくとなんなくジョグからギャロップまでこなしますが、単独ではジョグから歩様が変わりません。雪が深いせいかなんとなく嫌がっているような気もします。

1月に先導馬について1時間半ほどの外乗を2回。海にも入れましたし(もちろん飛び上がっていましたが)、先導馬にあわせてふつうに走ります。

それから、先導馬がいなければ走らないようでは困ると思い、アリーナにもどりました。

さて、アドバイスいただいたとおり、同じ状況でと思いましたが円馬場が雪で埋まってしまい、使えなかったので同じ状況は設定できませんでした。
普段馬つなぎ場に使っている、円馬場と同じ位の大きさの低い柵で囲った場所で似たような状況を作って追ってみました。足をあげることはしませんでしたが、柵を飛び越えそうなのであまり強くも追えず、はっきりした感触はつかめませんでした。今日円馬場の除雪を終えたので、来週再度やってみたいと思います。

昨日はこのあとアリーナでいつものとおり走りましたが、午前中はなんとか止まりながらも走っていたのですが、午後になるとまったく動かなくなってしまいました。馬房方向には足を出します。今日はアリーナまでの道を人にひいてもらい5往復ぐらい出たり入ったりを繰り返してやめました。はて、腹を蹴ったら進むという人の望む方向性を自分はどうやって馬に伝えたんだっけと、今日も眠れそうにありません。

A:(2)馬の調教は、特に初期調教の段階では、最低でも週に5,6日位連続して調教していかないと馬が悪くなってしまう場合があります。

いったん始めたら馬が確実にわかったというところまで、その時間内に行う必要があります。その度合いは馬の能力や性格にもよりますが、何かを教えはじめたら馬が理解して問題なく指示通りにできるまで行うということです。

一つのことについて、今日はここまで、残りは明日というのは馬には理解できないばかりか、教わったことに対するプレッシャーのみを記憶に留め、次に行うときもっと難しくなったり、反抗を作ったりしてしまいます。今日はできなかったから、あとはまた明日ということはありません。もしも状況的に無理な場合は、初めからやらない方がよいかもしれません。

また、先導馬についてならギャロップもできるということは、ライダーの指示より先導馬について行く方を選んでいるということです。おっしゃるとおり、これでは調教にになりませんので、一頭で乗って確実に指示通りできるようにしなければなりません。

単独でできないのは、馬が指示の意味を理解していないか、指示に従おうという気がない(気にさせていない)のではないでしょうか?

駆歩の指示(扶助)を馬に理解させるには、いったん駆歩の指示を出したら駆歩になるまで出し続け、それでもだめなら脚を強くします。ここで、出ないからとやめてしまったら次はもっと出なくなりますし、反抗や問題を作る原因にもなります。
そして、駆歩になったら脚の指示を止めますが、馬が速歩に落ちたらすかさず脚を入れて、絶対に駆歩をさせます。ある程度馬が理解し、ライダーの指示以外で速歩になってはいけないことを理解したようであったらゆっくり速歩に落とします。このときも馬が勝手に速歩になった場合は絶対にそのまま馬なりにしてはいけません。

また、馬房方向には行くとのことですが、これも逆に絶対に馬なりに行かせてはいけません。行こうとしたらバックさせて叱るなどしますが、それ以前にバックさせて叱ることができるのかどうかという問題もあります。バックを教えてからの方がいいでしょう。
そのまま続けると馬房に向かったとき速くなる馬になり大変危険ですし、コントロールしにくい馬になります。

>午前中はなんとか止まりながらも走っていたのですが、
>午後になるとまったく動かなくなってしまいました。
.....とありますが、馬の学習能力は一日に4、50分というのが欧米でも定説になっています。

時々休みを入れたりしても、新馬の場合は、せいぜい続けて1〜1時間半位にとどめ残りは休養させます。(下りて休むのではなく、途中でこまめに、褒める意味で休む。乗るのは一日一鞍がいいでしょう)

たとえ良い才能を持った馬でも疲れたりした場合は、集中力をなくし、理解力や判断力が低下してしまい、ぼんやりした無気力な馬になったり、反抗したりする問題を馬に作ってしまいます。
新馬には、特に理解力を保たせながら同時にいろいろなことを教えていくという作業になります。

それに必要なのがリスペクト(人間に対する従順性)ということです。
Halter Breakingは、これを問題なくスタートするための出発点で、馬に従順性があることがすべての前提条件ということです。

調教のできあがった馬なら、一日に二回以上乗ってもよいのですが、新馬は理解力や許容範囲が少ないので少しずつコンスタントに乗り込んでいく必要があります。また、たとえ仕上がった馬でも競技会前などで調教を仕上げていく段階では一日に一回しか乗りません。

また文面からの感じですと、馬がちゃんと動いたときのリリースや、適切なときに休ませることなどができていないため反抗が出ているようです。このまま続けると非常に難しい問題を作ってしまいかねません。

新馬の場合、できあがった馬よりはるかに繊細に馬にわかるようにハミをゆっくり当てたり、バランス良く乗る必要があります。馬の許容範囲が狭い分、ライダーのバランスや脚、手の使い方も微妙なものが要求されます。

鞍数40鞍とのことですが、馬を調教するのには、卓越したバランスや、馬とコンタクトをとるための正しい手、脚の使い方、馬の反応や肢の動きを感じ取る敏感なセンサーなどが要求されます。もし、ご自分のバランスをとるためにレーンを持ってしまったり、馬を推進するための脚を上手く入れられない場合は、新馬を調教することはかなり難しいと思われます。馬に問題を作ってしまう場合があります。

現段階では調教のできた良い馬に乗り、その馬から教わった「良い馬とはどんな馬なのか」をつかんだ上で、ご自分の技術をより磨き、それを新馬にフィードバックしていくことをお勧めします。

新馬はコンスタントに調教を頼めるプロに頼み、ご自身は正しく調教された良い馬に乗られてはいかがでしょうか?馬に問題を作ってしまった場合、それを直すのは初めから教えるよりずっと難しくなってしまいます。

00/2/18 up

このコーナーへのご質問を募集しています。

   メールまたは、直接質問フォームにて送信することもできます。

E-Mail reining@eldorado-ranch.com / フォームはこちらです。


page top / Halter Breaking内容紹介 / VIDEO Halter Breaking / HOME / Q-1 / Q-3 / Q-4

ホームへ戻るボタン

Eldorado Ranchへのメール reining@eldorado-ranch.com
TEL 043-445-1007  FAX 043-445-2115