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今朝は、どんより曇っていて、気温も低めです。
馬場は、奥に水たまりが残っていますが、外はほぼベストです。
「縦型思考」
「縦型思考」についてお話ししてみたいと思います。
世に良くいわれる立体思考といわずに縦型というのは、訳があって一つの疑問や問題点に差しかかったとき、その一つ手前の基本に戻って考えそれでも解決しないときはもう一つ手前の基本に、というように一つ一つ段階的に基本方向へ向かって思考を巡らせていくという方法を縦型思考と名付けたものである。
段階的に基本方向へ思考をというのは、つまりその疑問や問題点の解決策として考えた思考の前提条件について、思考を巡らせると言うことなのだ。
立体的思考とは、寧ろ間接成功型思考の方に近い考え方なのでしょうか。
例えば、馬がリラックスしなくて駈歩でも速くなってしまう場合、一生懸命ルーズレインで極力ハミを引かずに乗っているのだがと、しきりにハミを当てないで乗っているのに一向に馬がゆっくりと走らないことを嘆いている。そしてこの後は、今度はハミを当ててゆっくり走るようになるまで待つという乗り方になる。そしてこれが功を奏して馬がゆっくりと走るようになって、調教が進んで成功してしまう。
そして、また同じように速くなってしまう馬に出会ったとき、この成功例があるからハミを引いて馬がゆっくりとなるのを待つという調教法になる。しかし今度は一向にゆっくりとならない。このとき多くの人は、この馬は、駄目だという見切りをつけたくなってしまいがちだ。
このような馬をゆっくりとリラックスして走るようにする方法は、決して一つではない。
多分その調教法は、馬の頭数ほどの調教方法があることでしょう。
このときにライダーが思考しなければならないことは、その調教法を考える前に、馬がリラックスしないのが速く走ってしまう原因だとすれば、馬がリラックスするためにその調教方法を考える前に、その前提条件である馬のリラックスとは何なのかということ考えなければならない。
この前提条件を考えるというのが縦型思考と私は名付けている。
馬が緊張するということは、外的刺激要因がどのように馬に受け取られるかによって、緊張かリラックスにつながるので、馬にとってプラス要因と理解できる以外の要因、つまりマイナス要因とプラス要因と理解できない要因であった場合である。
馬にとって外的要因とは、ライダーから受ける刺激のみが外的要因ではなくて、風や自動車や景色など多くの要因が考えられる。
ハミを当てて乗っていたらゆっくりと走るようになったとすると、ハミの刺激に気をとられるようになって、他の外的要因が気にならなくなったと考えることができる。
ハミを当てて乗っていても一向にゆっくりとならない馬は、それでは外的要因から解放されないか、また精神状態に関係なく速く走ってしまうのかもしれません。
ここでは、あまり馬がゆっくりと走る調教法を述べるのは他の機会に譲るとして、馬の調教プログラムを作るためや、そのプログラムの実行手順を決めるために、前提条件について思考を巡らせる縦型思考法が必要だということなのです。
脚は何のために使うのかとか、ハミは馬をコントロールするためにどんな働きをするのか、何故馬の頭を下げようとするのか、何故後肢の踏み込みが必要なのか。
スピンターンとは、スライディングストップとは、リードチェンジとは、ロールバックとは、ウエスタンプレジャーとは、トレールとは、バレルレースとは、ポールベンディングとは、
ここでいう「とは」という謎かけは、単にどういうものかを思考しろという意味でなく、そのときの馬の重心バランスや肢の動きや頭との連携などがどうなっているのか、またメンタル面では、緊張とリラックスとは、従順と反抗とは、コンセントレーションや理解とは、一体どんなメカニズムを持っているのかなどを掘り下げて考える必要だ。
乗馬における様々なファクターを掘り下げて、それなりの結論に基づいて、乗馬のプログラムやその実施手順を作り上げて意識的に馬に乗ることが、失敗にせよ成功にせよ何らかの豊かな経験値を育み、必ずやより良い馬と人間の関係を創造するベクトルを我々にもたらすに違いない。
この縦型思考で考えるという訓練をすることによって、馬の運動のどこから切り口として思考を始めるかなど気にすることはない。
サークル運動でもスピンターンでもスライディングストップでもそれからリードチェンジでも、その運動の前提となるファクターについて思考を巡らしながらより掘り下げていけば、必ず一つの心理にそれらの運動のどれから思考を始めても突き当たるに違いない。
このことによって、馬を乗る上で馬の運動の何から調教していくのが良いのか、馬の何を作っておくことがそれぞれの応用動作に繋がっていくのかが解り、馬の運動のそれぞれの共通点と相違点がはっきり理解して、馬と向かい合うことができるのである。そして馬の調教や騎乗のプログラムの手順を明確にでき推し進めることを可能にする。
これまで述べてきた「間接成功型思考法」と「縦型思考法」は、ここまでお読み頂いた方々はもう既にお解りだと思いますが、乗馬に限ったことではありません。
我々は知識記憶中心の教育を長年受けてきました。それは平面思考に偏って、物事を掘り下げるように大脳を使ってこなかったともいえるのです。ですからこの思考法を身につけるには、相当意識して自分をそのように仕向けないと、なかなか身に付くものではありません。
馬のトレーニング法や騎乗法について、多くの人の考え方に触れることは、これらの思考法ができる人にとってのみ有効に働き、できない人にとっては、只混乱を招くだけにしか過ぎません。また自ら多くの経験を積み重ねることでも同様で、体験する度にこれらの思考を及ばせて、その都度検証していかなければ、貴重な経験も無駄になるだけでなく弊害になってしまうのです。

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